12年度ダブル改定の最新情報を共有/医療事務担当者向け講習会
保険医協会・医事担当者連絡会議は11年11月26日、第3回目となる「医療事務担当者向け講習会」を京都市内の会場で開催。97人が出席した。今回のテーマは4月に予定されている診療報酬・介護報酬の同時改定。特別講演会では、?じほうのMEDIFAX編集長・山口尚宏氏から「2012年度診療報酬改定と医療をめぐる現状」と題し、最新の話題を紹介した。
山口氏は、まだまだ具体的な話は示されていないとしながらも、改定率をめぐる動向や、社会保障と税の一体改革成案による医療・介護機能再編の流れの中での改定であることなど、全体的な方向性のほか、一般病棟90日超入院患者の見直し、回復期リハビリ病棟の3段階評価化など具体的な項目についても触れた。受診時定額負担と保険免責制との違いなどについても説明を行った。
入院中の他医療機関受診の問題点も指摘
減算額年間400万円に達する
特別講演会に先立って開催した「日常医事業務研究会」では、病院で医療事務を担当する3人が、医療事務担当者の実態アンケート調査結果などの演題を発表した。
このうち、特定医療法人稲門会いわくら病院医事課の西川昌良氏は「精神科における他医療機関受診の現状と課題」を発表した。西川氏は、10年4月診療報酬改定で、入院中の他医療機関受診の規制が強化されたことを取り上げ、入院料を減算した件数が、10年7月〜11年6月までの1年間で、709件にも上り、一部合議での対応をしているものの、すべて入院料の減算で対応した場合には、減算額が年間400万円にも達するという実態を報告した。さらに、1. 透析患者が毎月10回以上他医療機関を受診し、毎月10日以上入院料を減算したケース、2. ペースメーカーを装着している患者の定期的な外来受診で、医学管理等の点数まで実費請求され、入院料の減算に加えて実費支払いをしたケース、3. 糖尿病を合併する患者で、専門医による投薬管理が必要で、自院で対応できず、入院料を上回る金額を支払ったケース、4. 他医療機関受診の制度を理解しない医療機関に入院患者の外来受診に応じてもらえなかったケース、5. 制度上受診先での薬剤投与ができない患者に、連絡はしていたものの誤って薬剤が投与されたケース、6. 入院中の患者の家族が知らずに薬剤をもらってきてしまったケース、7. 入院中は無料で外来受診ができると患者が誤解してしまったケース、8. 病院が知らない間に患者が禁煙外来に受診し、合議で数万円支払ったケース―といった、具体的に困った事例が多数紹介された。さらに、外来受診先での投薬が制限されていることで、薬剤の在庫量が増加、常に患者に使用する薬剤ではないため、当該患者の退院後には不良在庫と化してしまうことや、他医療機関受診にあたって外来受診先との調整に時間を要し、午前中の業務時間をすべて費やすことがあるなど、日常業務を圧迫している実態なども報告された。精神科のみならず、全科を有する病院を除いては、1医療機関で医療を完結させることは到底できない。他医療機関受診の抑制は即刻廃止すべき―と訴えた。
毎回多数の参加者がある講習会