11年度は収支悪化、震災の影響などで/全日病・病院経営調査  PDF

11年度は収支悪化、震災の影響などで/全日病・病院経営調査

 全日本病院協会は12月19日、会員病院を対象に実施した2011年度「病院経営調査報告(概要)」を発表した。回答病院全体の医業収支は105.5%(前年度比1.2ポイント減)、総収支も105.4%(同1.1ポイント減)となり、10年度の前回調査より悪化していた。医業収支が赤字の病院の割合は21%(同1ポイント増)となった。全日病は「10年度プラス改定で経営状況は改善されたように見えたものの、11年度調査では全病床種、多くの病床規模で収支が悪化した」と指摘。「原因として、東日本大震災の影響や、医師・看護師不足の長期化、金融機関の融資抑制など、さまざまな要素が考えられる」としている。

 調査は会員病院のうち600病院を対象に実施。回答数は360病院、回答率60.0%だった。回答病院の病床数は100−199床が最も多く148病院、50−99床が91病院、200−299床が84病院と続いた。DPC対象病院は105病院、非対象病院が255病院だった。 病床種別の医業収支率は「一般病床のみ」が104.4%(同0.7ポイント減)「一般・療養併設」107.1%(同2.1ポイント減)、「療養病床のみ」108.4%(同4.3ポイント減)で、いずれも10年度より悪化した。DPC対象病院も104.9%(同0.1ポイント減)と悪化し、特定入院料算定病院も同様の傾向だった。病床規模別の収支率では、病床数が多くなるほど収支率が下がる傾向があったが、赤字病院の割合は200床未満で高かった。

●収入増も収支率は悪化
 10年度と11年度の双方に回答した279病院について見ると、総病床数に変化はなく、入院患者数・外来患者数も横ばいだった。1病院当たりの医業収入は10年度の2億2400万円から11年度の2億3000万円と増加したが、医業収支率は10年度の106.2%から11年度の105.6%と悪化した。入院・外来ともに単価は上がったが、従業員数も増加し、結果として収支率が悪化した。

 3月11日に発生した東日本大震災の影響は「人的または物的被害あり」が55病院、「被害なし」が305病院となった。医業収支率は、被害ありが104.1%、被害なしが105.8%で震災の影響がうかがえる結果となった。(12/20MEDIFAXより)

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