10年版白書/「本格的な高齢社会」10人に1人が75歳以上
政府は5月14日の閣議で、「2010年版高齢社会白書」を決定した。09年の高齢化率が22.7%に達し、10人に1人が75歳以上となるなど「『本格的な高齢社会』となっている」と指摘。高齢者の孤立防止に向け、官民協働によるネットワークづくりや元気な高齢者の「支え手」としての活用などの重要性に言及している。
白書では、会話頻度が「2−3日に1回」以下の人や、友人との付き合いを「あまりしていない」「していない」の人が、高齢者全体では1割程度だが、高齢単身世帯や健康状態の悪い人、経済状態の苦しい人に限ると2−3割程度となるなど、「社会的孤立」の状況を紹介している。
こうした状況が「孤立死」や高齢者による犯罪の増加につながる可能性も指摘した。その上で、改善に向けた取り組みを進めていくために「住民、ボランティア、NPOなどの民間と地方自治体や専門家が良好な『協働』関係を築くこと」が重要とし、行政とNPOなどの「得意分野」を組み合わせた対応の必要性に言及している。
さらに、60歳以上で「困っている世帯を手助けしたい」としている人が8割に上る一方、実際に「手助けしている」人は3割にとどまっている調査結果を紹介し、「孤立した高齢者への支援は、元気な高齢者の『出番』」と位置付け、支え合い活動のリーダーとなる人材の発掘、養成が重要とした。
このほか「自分は健康」と感じている60歳以上の人の割合が64.4%で、米国、フランス、ドイツ、韓国と比べ高い一方、医療サービスを「月に2、3回」以上利用する高齢者の割合は、ほかの4カ国と比べて高いとする調査結果も盛り込んだ。また、介護保険サービスを受給した高齢者は10年1月で約383万人に達していることや、「介護を頼みたい相手」としてホームヘルパーなどを挙げる人の割合が増えていることにも言及している。(5/17MEDIFAXより)