09年度医療給付実態調査を報告/厚労省保険局
厚生労働省保険局調査課は5月31日、2009年度医療給付実態調査報告を公表した。診療報酬明細書と調剤報酬明細書のデータを基に、医療保険制度加入者の受診状況や医療費を年齢や疾病分類別ごとに分析した。07年度までは「国民健康保険医療給付実態調査」や「医療給付受給者状況調査報告」などを実施していたが、08年度から全ての医療保険制度を対象とした同調査に改めた。09年度は同調査の2年度目に当たる。
患者1人当たりの年間医療費を制度ごとに見ると、協会けんぽ14万6620円、組合健保12万3565円、国民健康保険27万7253円、後期高齢者医療81万7775円となった。
10年3月の1カ月間に1度でも医療機関を受診した人の比率を制度ごとに比較すると、協会けんぽは45.0%、組合健保44.3%、国保52.6%、後期高齢者医療86.2%となった。09年度1年間で1度でも受診した人の比率は、協会けんぽ78.1%、組合健保83.3%、国保83.4%、後期高齢者医療97.8%。 1人当たりの入院費を年代別に比較すると、国保は他の医療保険制度に比べて25歳以上で医療費が高くなる傾向が見られた。入院外医療費では制度間に大きな差は見られなかった。
入院の原因を疾病分類別に分析すると、協会けんぽ、組合健保、共済組合では「がん」による入院が16−18%台を占め、最も多かった。これに対して国保では「精神及び行動の障害」が21%でトップ。後期高齢者医療では「循環器系疾患」が27%で最多となった。
入院外の受診理由を見ると、協会けんぽ、組合健保、共済組合では「呼吸器系疾患」が21−24%台で最多となり、感染症や喘息で受診するケースが多かった。国保と後期高齢者医療では「循環器系疾患」がトップで、それぞれ20.1%、32.1%を占めた。
このデータは厚労省が政策決定する際の基礎資料として用いる。(6/2MEDIFAXより)