08年度国民医療費、過去最高の34.8兆円
2008年度の国民医療費が34兆8084億円で過去最高を更新したことが、厚生労働省が11月24日に発表した「08年度国民医療費の概況」で明らかになった。国民1人当たりの国民医療費も27万2600円、国民所得に占める国民医療費の割合も9.90%で、いずれも過去最高となった。65歳以上高齢者の国民医療費の割合は54.6%で、1人当たりでは64歳以下と比べて約4.2倍だった。
国民医療費総額は前年度比2.0%増。08年度診療報酬改定率マイナス0.82%を勘案した場合、自然増はほぼ例年並みとみられる。厚労省によると、自然増分の内訳は高齢化による部分が約1.3%増、医療の高度化などによる部分が約1.5%増、人口減少の影響が約0.1%減と見ている。
財源別に見ると、公費分12兆9053億円(構成割合
37.1%)、保険料分16兆9709億円(同48.8%)、患者負担など4兆9323億円(同14.2%)。国庫負担分が全体に占める割合は25.1%。保険料分のうち事業主負担分が全体に占める割合は20.4%、被保険者負担分は28.3%だった。前年度比伸び率は、国庫負担分が2.9%増、保険料の事業主負担が3.1%増。低所得者に対する後期高齢者医療制度保険料の軽減策などにより、保険料の被保険者負担は0.2%増にとどまった。
診療種類別では一般診療医療費が25兆9595億円(前年度比1.2%増)で全体の74.6%、歯科診療医療費が2兆5777億円(同3.1%増)で全体の7.4%、薬局調剤医療費が5兆3955億円(同5.3%増)で全体の15.5%など。
一般診療医療費に限ると65歳以上は14兆5991億円で全体の56.2%を占める。65歳以上の1人当たり国民医療費は51万7400円、64歳以下は11万4200円で4.5倍の差となる。
一般診療医療費を詳しく見ると、病院では入院が前年度比2.0%増と伸びる一方、入院外は外来患者数の減少などにより1.5%減。診療所では有床診療所の減少や病床数・在院患者数の減少で入院が7.4%減、入院外は2.3%増となった。
疾病別では、「循環器系疾患」5兆2980億円、「新生物」3兆3121億円、「呼吸器系疾患」2兆186億円の順。男女とも「循環器系疾患」「新生物」が1、2位を占めたが、3位以下は男性が「腎尿路生殖器系疾患」「呼吸器系疾患」「内分泌・栄養・代謝疾患」、女性が「筋骨格系・結合組織疾患」「内分泌・栄養・代謝疾患」「損傷・中毒など」の順となった。(11/25MEDIFAXより)