高齢化対策、日本の知見をASEAN諸国に/厚労省検討会が報告書
厚生労働省の「国際的なActive Aging(活動的な高齢化)における日本の貢献に関する検討会」は2月18日、これまでの議論や現地調査を踏まえた報告書を大筋でまとめた。今後、日本と同等もしくはそれ以上の速さで高齢社会を迎えることが予測されるASEAN諸国での高齢化対策の課題や、高齢化が進んでいる日本の取り組み、ASEAN諸国に協力する際のアプローチの在り方を整理した。
報告書は▽Active Agingの背景▽ASEAN諸国および日本の高齢化対策とその課題▽今後の国際協力に向けた提言―の観点からまとめた。
ASEAN諸国では、非感染性疾患(NCD=NonCommunicable Diseases)の増加が医療費に与える影響に関心が高く、NCDに対応するための医療提供体制や、予防・健康増進のための社会基盤整備が重要なテーマになると指摘。二次予防の観点から、日本の集団検診や職域検診などのノウハウを提供して途上国で展開するなど、NCD対策の必要性を伝達することが有効な協力になるとした。
また、富裕層や中間層を対象にした高齢者ホームなどの建設が民間資本によって相次いでおり、今後も民間の高齢者ホームの増加が各国で見込まれると指摘。民間施設の整備基準を用意している国はあるものの、基準に対応していない施設も多いとみられるとし、制度設計やサービスの最低基準の策定を支援することで、事業者のサービスの質確保・向上に結び付けることも可能とした。
報告書のまとめに当たり尾身座長は「いずれは日本が世界的なイニシアチブになり得る。アジアは最初の入り口だが、世界に先駆けて日本がこういうことをやっているという一つのマテリアルができた」と述べた。また、萱島信子委員(国際協力機構人間開発部長)は「国際協力機構としては、高齢者が重要なイシューになっているので、とっても価値がある」と述べ、今後の活用に期待を寄せた。
厚労省は、意見を踏まえた見直しを行い、報告書を完成させる。(2/19MEDIFAXより)