高浜原発差し止め仮処分が取消 再稼働前提の決定に強く抗議する
12月22日、西川一誠福井県知事が高浜原発3・4号機の再稼働への同意を表明。
地元の高浜町や県議会の意思、同県原子力安全専門委員会の報告、関電、国の方針を「総合的に勘案し、再稼働に同意するとの判断」に至ったと説明した。
その2日後の12月24日、福井地方裁判所は高浜原発3・4号機運転差し止め仮処分決定取消を下した。
「本件原発の安全性に欠ける点があるとはいえない」「したがって債権者らの人格権が侵害される具体的危険があると推認することはできない」とする、前回の画期的な判断を覆す非常に残念な決定だ。協会は住民のいのちと健康を守る医師の立場から、仮処分決定取消に強く抗議し、25日付で安倍首相、林経産相、関西電力に抗議文を送付した。
周辺自治体では、舞鶴市議会が原発再稼働容認決議を可決したことを受け、舞鶴市も容認の立場を表明したが、京丹後市の中川泰市長は22日の西川福井県知事の再稼働同意表明を受け、「将来の廃棄物の最終的な具体的取扱いが決まっていない等の中では、基本的に反対」とするコメントを発表。京都府の山田啓二知事も、実際に使える避難計画や避難ルートが整っていないことなどを「遺憾」と表明。宮津市議会は、30キロ圏に入る府内外の12市町村議会で初となる、再稼働反対の意見書を可決した。
そもそも原発は、徹頭徹尾、他者に犠牲を押しつけるものである。平常運転時の労働でも下請け・孫請け労働者が被曝を強いられている。発電所や核燃料サイクル施設は、決して都会には作ることができず、過疎地に押しつけられている。なおかつ、原子炉が生み出す放射性物質は現在の科学では無毒化することができず、放射性廃棄物の処理方法も定まっていない。我々はこのような発電方法を選択すべきではなく、協会の脱原発を求める主張の根源には、この問題がある。
協会は引き続き、脱原発に向けて舵を切るよう、国および電力会社に要請していくとともに、司法にも国や電力会社に目を向けた判決ではなく、真に住民の声を聴きその立場に立った判断を下すよう強く求めた。