高度急性期の受け皿に「長期急性期」を/日慢協・武久会長
日本慢性期医療協会の武久洋三会長は7月7日の会見で、政府の「社会保障改革に関する集中検討会議」が示した社会保障改革案を踏まえ、2025年に向けて高度急性期を脱した患者の受け皿となる「長期急性期病床」を整備する必要性を指摘した。「長期急性期病床」を含む慢性期入院医療の報酬体系については、日慢協が提案する「慢性期病態別診療報酬」の適応を次々回の診療報酬改定に向け求めていく考えを示した。
武久会長は、集中検討会議の改革案で一般急性期病院の平均在院日数が「9日程度」となっていることについて「(短さに)飛び上がって驚いた」と説明。高度急性期病院の「15−16日程度」より短いことについて「一般急性期病院では、高度急性期病院ほど重度ではない中等度の患者を診て、早く退院させてくださいというメッセージではないか」と指摘した。
その上で、高度急性期の治療が終わっても重度のまま後遺症が残るような患者の受け皿について「平均在院日数が9日に設定されてしまえば一般急性期病院で診られるわけがない」とし、慢性期医療の中で受け入れ体制を整える必要性を指摘。実際、高度急性期からの患者を受け入れる「長期急性期」の機能を持つ医療療養病床は、現状でも2割程度存在するとの認識を示した。
集中検討会議の改革案では、25年に必要な慢性期病床数を28万床としている。一方、武久会長は慢性期医療を担う病床の総枠として60万床は必要との見方を示し「一般病床から20万床くらいは慢性期病床に降りてくるだろう。25年には『長期急性期病床』30万床、『長期慢性期病床』と『介護療養型(の病床)』30万床という慢性期医療の受け皿が必須」と述べた。(7/8MEDIFAXより)