高度医療の「2重評価」見直しへ/厚労省、ドラッグラグ解消で
厚生労働省は10月27日の中医協総会(会長=遠藤久夫・学習院大教授)に、高度医療評価制度の見直しを柱としたドラッグラグ解消策の論点整理を提示した。特に抗がん剤に主眼を置き、現行では高度医療評価会議と先進医療専門家会議の「2重」の審査を経ている評価体制の見直しに言及。一定の要件を満たした外部機関の活用などによる迅速化も提案した。
●外部機関の活用も
厚労省によると、高度医療は申請受理から大臣告示までに平均で約3.3カ月を要しており、技術によっては最長で1年4カ月を要したものもある。短縮化に向け、「2重」の評価体制について「重点化、効率化の観点から見直しを検討してはどうか」と提案。併せて、技術評価や施設基準の設定のほか、実施中の評価・監視などについて外部機関の活用も提案した。
厚労省保険局医療課の鈴木康裕課長は、具体的な外部機関の例として「抗がん剤であれば、高度ながん専門医療を提供する医療機関で研究所機能を併せ持つところなどになると思う」と説明した。
●申請前の保険併用も視野に
論点整理ではさらに、先進医療・高度医療の申請要件の弾力化にも言及。ともに申請要件となっている申請前の「一定程度の実施実績」について、現在は実施に掛かる費用を実施医療機関が負担していることを踏まえ、保険外併用療養での対応も視野に入れて支援し、申請しやすい環境を整える必要性を指摘した。海外で使用実績のある未承認・適応外抗がん剤などについては、一定の要件に見合うものを期限を区切った上で弾力的な実施要件を設定することも盛り込んだ。
高度医療で得られたデータを承認申請につなげるための方策も検討する。高度医療で得られたデータはGCP(医薬品の臨床試験の実施に関する基準)に対応していなければ、そのまま薬事承認申請データに転用できない。事実上、治験を実施し直す必要が生じており、この点でも運用方針を検討する。
このほか、日本で開発された革新的な医療技術についても、実施施設を限定するなどの安全対策を講じた上で、保険外併用療養費の対象にするなどの実用化促進策の検討も盛り込んでいる。厚労省は11月中にも、より具体的な改善案を中医協に提示する方針だ。(10/28MEDIFAXより)