首都圏と地方で後期研修医を相互派遣へ/東京医科歯科大など3大学
東京医科歯科大と秋田大、島根大の3大学は、首都圏と地方で異なる診療圏の医療を体験できるよう研修医を相互に派遣し合う後期臨床研修プログラムを2008年度から導入する。医師不足に悩む地域医療の一端を「都会」の研修医が担うことにもつながる。東京医科歯科大病院の田中雄二郎・臨床教育研修センター長は「医療崩壊が指摘される中、医学に携わる人が全体で問題意識を共有し、建設的な解決策を生み出す土壌になる」と述べ、複数の大学が連携する臨床研修プログラムの意義を強調した。
東京医科歯科大など3大学による後期臨床研修プログラムは、文部科学省の「大学病院連携型高度医療人養成推進事業」として実施。「都会と地方の協調連携による高度医療人養成」をテーマに事業展開を図る。
具体的な研修プログラムは、各大学の得意分野を補完しながら3カ月の「短期パッケージ研修」と1年間の「長期パッケージ研修」を用意する。東京医科歯科大は短期パッケージ研修として、研修協力施設の亀田総合病院で行うドクターヘリ搭乗医師トレーニングのほか、人工心肺を用いない心拍動下冠動脈バイパス手術トレーニング、腹腔鏡手術トレーニングなどを用意する。秋田大は訪問診療トレーニングを実施。島根大は遠隔診療トレーニングを用意するなど、地域医療の実際に即した研修プログラムを提供する。
長期パッケージ研修では、東京医科歯科大が重傷頭部外傷手術重点トレーニングを実施するなど、長期間の研修が必要となるプログラムを準備する。本格的な研修医の相互派遣は09年度以降になる見通しで、08年度はテレビ会議システムのほか、インターネットによるテレビ電話を利用したモニタリングシステムや、研修医を対象とするオンライン評価システムの導入が計画されている。(8/18MEDIFAXより)