首相、子供の医療費無料化検討/福島復興再生協議会
野田佳彦首相は1月8日、福島市内で開かれた「原子力災害からの福島復興再生協議会」に初めて出席し、東京電力福島第1原発事故による放射性物質で汚染された土壌などを保管する中間貯蔵施設を同県双葉郡内に建設する政府方針について協力を要請した。これに対し佐藤雄平福島県知事は、首相が2011年、原発事故の収束を宣言したことに言及し「福島県民や避難している皆さんからすると感覚は相当違う。あくまでも避難者の帰還が収束だ」と強い不快感を表明した。
一方、佐藤知事は「復興を担う青少年の健康が大事だ」として、18歳以下の県民の医療費無料化を要請。首相は記者団に「大変重要な課題と受け止めた」と述べ、前向きに検討する意向を示した。
協議会には平野達男復興対策担当相や細野豪志環境相、関係市町村長も出席。政府側は通常国会に提出する「福島復興再生特別措置法案」に関し、国が避難解除区域の復興計画を作って自治体の公共事業を代行するほか、福島県が定める産業復興推進計画に基づいて規制緩和などの支援策を用意すると説明した。
協議会に先立ち、首相は佐藤知事と福島県庁で会談。収束宣言をめぐり「原発事故との戦いが終わったわけではない。さまざまな課題から逃げることなく、国が最後の最後まで責任を持って取り組む覚悟だ」と釈明した。
首相は11年12月16日、第1原発が冷温停止状態に達したとして「事故そのものが収束に至った」と宣言。細野氏が12月28日、佐藤知事に中間貯蔵施設の受け入れを要請した。しかし与野党内や専門家から「収束宣言は時期尚早」といった批判が噴出。福島県議会は宣言撤回を求める意見書を全会一致で可決した。
中間貯蔵施設の受け入れをめぐっては、双葉郡8町村の首長の見解が割れており、調整役の佐藤知事は結論を急がず慎重に検討する考えを示している。(1/11MEDIFAXより)