電子レセで医療扶助分析/集中検討会議への厚労省案
厚生労働省は5月23日、「貧困・格差対策」「低所得者対策」についての改革案を政府の「社会保障改革に関する集中検討会議」に提出し、生活保護制度について電子レセプトを活用した医療扶助分析やレセプト点検などの導入や、低所得者への対策として「総合合算制度」を導入する方向性を示した。
貧困・格差への改革案では、求職者支援制度・総合支援資金貸付制度などの導入によるセーフティネットの多層化を推進するとともに、最後のセーフティネットである「生活保護制度」について生活保護法の改正を含めた改革を進める考えだ。
中でも生活保護費負担金の48.3%を占める医療扶助については、2011年度から本格運用となる電子レセプトを活用し、医療扶助の内容分析やレセプト点検の強化を図るとともに、▽生活保護受給者への請求が突出している医療機関への重点的監査・指導▽向精神薬の大量入手などの不適切な受診行動が見られる受給者への受診指導▽後発品の利用促進─を行う考えだ。いわゆる貧困ビジネスを排除する仕組みについても併せて導入したい考えだ。
生活保護制度とは別に、低所得者対策として世帯単位による自己負担額の「総合合算制度(仮称)」の概略も示した。15年以降に整備する「社会保障・税に関わる番号制度」導入によって世帯の自己負担状況を把握することが前提。医療保険・介護保険・後期高齢者医療・障害者自立支援・保育新システムの各制度の自己負担額の総額について、低所得者世帯では年収の一定割合が上限額となる。不足分は総合合算制度のための基金から総合合算給付費(仮称)として各事業者に支払う仕組みだ。
低所得者対策では、高額療養費制度の見直しや国民健康保険・介護保険での対策強化、非正規労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大を併せて行う。
第8回社会保障改革に関する集中検討会議/内閣府/2011,05,23/99P(5/24MEDIFAXより)