離職看護師”掘り起こし” /不足解消へ京都市対策
京都市は市内の看護師不足対策として、看護学科がある大学などと連携し、看護師資格を持ちながら現場を離れている人の復帰支援や現役看護師の能力を高める研修システムを構築する。2011年度からの研修開始を目指し、大学や病院との協議を進める。
市が08年12月から09年1月に市内で200床以上ある21病院に聞いたところ、就職から10年未満で約72%の看護師が離職していた。出産を機に離職した場合、育児が一段落するまでの医療技術の進歩についていけないとの不安から、復帰に二の足を踏むケースが多いとみられ、看護師不足の要因にもなっているという。
現場への復帰支援策としては、府看護協会による求人紹介や講習が行われているが、市は大学との連携による研修に力を入れ、看護学科のある大学の教員に復帰前の実習を委託し、病院側の研修受け入れによる負担を軽減して最新医療技術が学べる仕組みをつくる。
また、現役看護師ががんや認知症など専門分野を学べる場も提供し、活動の幅を広げて定着率アップを図る。
市は11年度末に市立看護短大を廃止し、佛教大が新設予定の看護学科の運営に協力する方針で、他大学でも看護学科設置の構想がある。これらの看護系の大学と病院、市が協力する新たな枠組みで、「看護師の離職を抑え、有資格者の掘り起こしにつなげたい」(保健福祉局)としている。