雇用保険の国庫負担、全廃には否定的/財政審の西室会長
財政制度等審議会の西室泰三会長は10月3日、財政制度分科会財政構造改革部会終了後の会見で、社会保障費2200億円削減の有力なメニューとされる雇用保険の国庫負担見直しについて「今日の会合では話は出ていないが、(秋の) 建議では避けて通れない」と語った。その上で「個人的には、国だけが(負担を) やめるというのではなく、企業側、勤労者の分も減らすことを一緒に考えるべきではないかと考えている」とした。
西室会長は、財政審としての今後の議論の方向性について、国庫負担をやめるとの意見が出てくる可能性に触れながらも、「私自身、それはアンフェアだと思う」と強調した。「これは社会保障政策の一部なので、国の支出無しで企業と勤労者だけが負担するというのでは、理論的には筋が通らない」とも語り、国庫負担の全廃には否定的な見解を示した。
さらに、サブプライムローン問題を発端とする世界的な金融危機を意識して「余剰資金が足りなくなった場合、国からの支出をやめてしまうとすべて自助努力でやらないといけなくなる。それでは民間の保険にしてしまった方が良いという議論を惹起しかねない」と懸念した。(10/6MEDIFAXより)