集団的個別指導の選定基準/厚生局 各科別平均点数を開示  PDF

集団的個別指導の選定基準

厚生局 各科別平均点数を開示

 近畿厚生局京都事務所は5月10日、「集団的個別指導対象件数算出表」と「2012年度指導等月別実施予定表」を開示した。これは、京都府保険医協会の開示請求により行われたもの。

 「集団的個別指導対象件数算出表」(表1)によれば、2012年度の対象は、病院14機関、診療所142機関となっている。

 集団的個別指導は、レセプト1件当たりの平均点数が高い保険医療機関に対して、地方厚生局が行う行政指導である。平均点数の1・2倍(病院は1・1倍)であり、かつ概ね上位8%の保険医療機関を対象に実施される。

 診療所の選定は12区分に分けられるが、2012年度より、人工透析をしていない内科診療所が、在宅療養支援診療所届出医療機関とそれ以外に分けられた。院外処方を行う医療機関に対しては平均点数が補正されるが、2012年度においては、補正点数が開示されなかった。

 集団的個別指導は7月に病院14機関、診療所134機関、9月に8機関の実施が予定されている。出席案内は開催日の3週間前に送付される。全国的に地方厚生局による選定誤りがたびたび発生している。出席案内が送付された場合でも、納得ができない場合は、近畿厚生局京都事務所に確かめることをお勧めする。

表1 診療所 集団的個別指導対象件数算出表

高点数医療機関に対する個別指導を実施か?

 一方、「2012年度指導等月別実施予定表」(表2)によると、個別指導の対象医療機関数は病院5機関、診療所12機関となっている。2区分は墨塗りされているが、2011年度までは上段が「審査支払機関、保険者、患者等からの情報提供」や「再指導」等の理由により選定された機関、下段が平均点数の高い保険医療機関(集団的個別指導からの移行)と考えられた。従来、診療所のうち、高点数区分は80機関程度選定するが、実施はされていない。2012年度の特徴は、ここに7機関という絞った数字を入れていることだ。つまり、高点数を維持している診療所に対する個別指導の実施を具体的に検討しているのではないか、と予想できる。

 保団連は、毎年、高点数を選定基準とする集団的個別指導、個別指導は廃止するよう厚生労働省に対して求めており、京都府保険医協会の要求と同じである。

 保険診療のルールや療養担当規則を守るなど、保険診療を適切に行い、自らの足元を固める必要はあるが、委縮診療に陥らず、必要な医療を提供しなければならない。その結果、高点数になったとしても、一律に指導すべきではない。

 一方、指導の場では、自らの診療の正しさを堂々と主張し、適正さを認めさせていく必要がある。協会は、個別指導において保険医の人権が脅かされてはならないと考えており、個別指導時の録音と弁護士の帯同を推奨している。会員の希望があれば、5万円+消費税+交通費実費の負担で、協会顧問弁護士事務所から弁護士の帯同が可能である。ご相談いただきたい。

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