開業支援は協会にお任せください!! 新規開業予定者のための講習会開く  PDF

開業支援は協会にお任せください!!
新規開業予定者のための講習会開く

 新規開業を考えている勤務医を対象に、協会は1月27日に「新規開業予定者のための講習会」を開催した。共催は有限会社アミス。第1講目は、「先輩開業医の事例から学ぶ、開業準備のチェックポイント」を株式会社日本医業総研シニアマネージャー・田中徳一氏が講演。第2講目は、いしだクリニック院長・石田敏博氏より「先輩開業医からのアドバイス」として開業時の経験談をお話しいただいた。

成功の秘訣は開業理念の明文化

 第1講目は、新規開業支援を多数手がけた田中氏がこれまでの事例をもとにアドバイスを行った。

 10年前は開業すれば「必ず立ち上がる」医院経営が、今や立ち上がらない医院が増えてきている。新規開業を考えている医師にとっては、「開業」が目的ではなく、「開業して幸せな生活を送ること」が目的である。そのためには、開業理念を明文化することを強く勧める。

 時間をかけて開業理念を検討し明文化することにより、事業コンセプトが明らかになり、適正事業規模、適正な開業場所、必要な資金額が明確になってゆく。開業準備には困難がつきものだが、心が揺らいだときに初心に立ち戻ることができるとした。

 開業前準備での成功のポイントは、(1)立地選定、(2)事業計画書の策定、(3)スタッフ採用など。物件の立地選定で重要なことは現地の住民の生活動線を現場に行って見ること。物件選定時のチェックポイントとして電気容量や過重耐性、給排水、排気が区画内に立ち上がっているかなど9項目について解説した。

 事業計画書については、融資を実行させるための資料ではなく、開業後、計画通りに推移しているか検討できるものであるという認識をもって作成することが重要。

 開業するということは、経営者になることであり、損益分岐点を念頭に置いて、必要患者数を意識することが必要だと述べた。

 スタッフ採用のポイントは、先生の開業理念を共有しチームワークに対する理解と適性のある人を採用し、人材は育てるものと認識することが必要。

 成功しているドクターは配偶者がよき理解者となっていることなど、多岐にわたって解説した。

体験談もとに開業のアドバイス

 第2講目は開業時のトラブルにより開業が予定より5カ月遅れた経験をもつ石田氏が以下のように語った。

 50歳を過ぎてからの開業で資金的余裕があまりなかった。先に開業した友人から、開業当初は健保からの支払いも2カ月後となり、資金が減るのみで不安になるため、アルバイトを残して、無理のない開業をすることを勧められ、診療時間を削りアルバイトを残しながら開業した。外勤先から患者さんが診療所に来てくれることもよくあり、患者数が増える結果となった。

 開業当初に売上を伸ばそうとすると精神的に苦しくなり、心の内が患者さんに伝わり敬遠される。目先の利を追わず、ゆったりとした気持ちで診療をされる方が好結果を生むと考える。

 開業当時の失敗は、業者に任せるという気持ちで、業者の言うことを鵜呑みにしてしまったこと。何事も自分が主体性を持ってやることが大切である。特に契約書等は、弁護士等に見てもらった後、契約する方がよい。機材も開業してみると不要なものもあり、診療の状況に応じて買い増す方がよい。固定費をできるだけ少なくするのが大切である。

 駅や道路沿いの広告等はあまり集客効果がない。やはり口コミが一番大切である。診療では特徴を出すことが大切であるが、自分が自信を持っていることが強みとは限らない。

 内装はできるだけ明るく清潔に見えるよう心がけるべきで、高価である必要はない。補修するときのことを考えておくのも大切である。BGMの配線やスピーカーは最初から設置しておき、LAN、コンセントは多めにする。医療器具のコンセントはアース付き三つ又を薦める。ポスター等は張らない方がきれいである。

 開業前には先輩開業医の医院を見学して、設備、その配置、患者さんの動線をよく見ておく。また機材や薬剤等の仕入れ先、業者を教えてもらう。

 場所の選定は、自分と奥さんで日曜日ごとにいろいろなところを見て、人の流れや人口の構成を見て回るのがよい。地価の高い駅前より駐車場の大きく取れる場所の方が開業場所としては適している。

 開業前にはその地区の先輩開業医に挨拶回りをする。院外薬局にも挨拶をして、その際に診療所の地図と連絡先、診療科目、診療時間を書いたメモを50枚くらい渡しておくと集客効果がある。

 開業1年以内はスタッフも不慣れでトラブルが起きやすい。トラブルが生じたときはスタッフに謝らせるのではなく、診療時間が終わってから出向いて医師が謝罪する方が患者さんへの印象はよい。

 地区の医師会の仕事は嫌がらずにできるだけ引き受けることが望ましい。仕事を通じて患者さんを紹介してもらえる と多数のアドバイスがあった。

 最後に、北村理事から、地区医師会への入会についての留意点および協会共済制度やその他の活用方法について説明した。

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