開業保険医の復権を 第68回定期総会で方針等確認  PDF

開業保険医の復権を 第68回定期総会で方針等確認

 協会は7月26日、第68回定期総会(第189回定時代議員会合併)を京都市内のホテルで開催した。総会は、114人(代議員72人、一般会員20人、理事者22人)が出席し、2014年度活動報告および2015年度活動方針、決議案を採択した

14年度協会活動を総括

 鈴木由一副理事長が14年度の活動報告を行った。1年を振り返り、会員の日常診療および医院経営へのサポート活動を柱に、会員に寄り添った協会事業をより意識して取り組んできたことを報告。一方で、この間、国民皆保険制度の根底を大きく変容させる法改正が次々と打ち出され、抗議談話の発表や関係各所への要請書提出、懇談などを行ったことを報告した。京都選出国会議員への要請活動や、会員・患者署名も行い、また、前年に引き続き、TPP反対の共同行動や脱原発運動にも取り組んだことを報告した。

 「第29回日本医学会総会2015関西」へ向けた「医の倫理」の取り組みでは、1年間を通じた活動となり、15年4月12日にアピール企画・「歴史を踏まえた日本の医の倫理の課題」をテーマに作家の青木冨貴子氏らを招き、講演会やシンポジウム等を開催した。

 診療報酬関連では、「訪問診療料の別紙様式14に関するアンケート」をはじめとする各種アンケート結果を基にした要請や厚労省交渉の実施などを報告した。

皆保険解体に対峙を

 続いて、渡邉副理事長が情勢を報告。安倍政権による軍事、教育、そして医療・福祉に至る改革は容赦なく押し進められており、国民皆保険制度解体は実践段階へ入ったと強調。都道府県化した国保では、都道府県の医療給付費見込みが保険料決定の重要な要素となるが、その見込が医療費適正化目標を踏まえたものとなると断じた。

 さらに市町村が支払うべき国保の分賦金(国保事業納付金)には、当該自治体の医療費実績が反映されるため、市町村は保険者機能を発揮し分賦金水準を低く抑えようとする。この流れが地域包括ケアシステム構築方針にも反映され、公的給付の抑制を基調としたものになると警鐘を鳴らした。

 日本の開業医は地域住民と密着し、高い専門性をもち、自らの医学的判断に基づいて必要な医療を必要なだけ給付してきた。だからこそ我々は、今進められている改革に対し、専門家の立場から批判することができ、またその責務を負っている。そうした開業医の在り方自体を否定する動きが総合診療専門医創設であり、医療制度改革推進のための都合の良い医師像への転換に他ならない。

 今こそ、開業医医療とは何か。開業医が地域で果たしてきた役割を明らかにする必要がある。そして、患者・住民とともに国民皆保険制度を守り、公的な医療・社会保障で生きられる国を目指す運動に立ち上がる必要があると訴えた。

 これを受け、垣田理事長が15年度活動方針を提案。必要な医療は社会保障として公的責任のもとに国家がきちんと保障すべきという我々の基本主張が、自己責任論に置きかえられようとしていると指摘。安倍政権が進める社会保障分野大改革の実態、日本の医療制度の大転換が何をもたらすかを国民に明らかにし、議論を求めてゆく。それと同時に、第一線で医療を担っている会員への的確な情報提供、困り事解決に向けたサポート活動を一層強めていきたいとした。

 なお、活動方針の文章について、一部表現が誤解を与えるのではないかと代議員より意見が出された。これを受けて、あらためて本紙付録として会員各位へ活動方針をご案内する。ご確認いただきたい。

 総会後は、音楽家・文筆家である通崎睦美氏による講演会「『1935』をめぐって」、続いて懇親会が開かれた。

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