開業を考える医師に実践的アドバイス/新規開業予定者のための講習会開く  PDF

開業を考える医師に実践的アドバイス/新規開業予定者のための講習会開く

 新規開業を考えておられる勤務医を対象に、保険医協会は11月12日に新規開業予定者のための講習会を開催した。共催は有限会社アミス。講習会は、1. 先輩開業医からのアドバイス、2. 成功する医院の開業戦略―の2題で講演。最後に内田副理事長から、地区医師会入会の留意点、協会共済制度の紹介や活用方法を説明した。講習会の概要は以下の通り。

6つのこだわりで目指した医療を実現

 1講目は、草田眼科医院院長・草田英嗣氏(写真)より、「開業するに当たって私の意識したこと」と題して、医院づくりのこだわりについて講演した。

 草田氏が意識した点は、1. 患者さんの訴えを十分に聞くこと。2. なんでも相談してもらえる、地域に密着した医師になること。3. 診察・検査はできる限りていねいに行うこと。4. インフォームドコンセントは十分に行うこと。5. スタッフと親睦をはかること。6. 医は仁術であって、算術ではないと認識すること―など。

 また、立地条件にはこだわり、高齢者や車いすの人にとっても通院しやすいように駅に近く、近隣に調剤薬局、スーパーがあり、ある程度静寂なところで、自身の通勤が楽なところを探した。患者が神戸、大阪などの他府県からも来るので、連携する医院・病院は複数持つこと、紹介状はていねいに書くことなどを心掛ける。院内はバリアフリーで車いすで検査・診察が受けられるように心がけた。京都府保険医協会の低利の制度融資を利用することで自己資金の不足を補い、戸建ての診療所とすることで思い通りの診療所とすることができた。

 インフォームドコンセントを重視することで患者の病気に対する理解がすすみ治療に専念してもらえる。毎月1回開催するイベントを通してスタッフとの親睦を高めることで患者さんにやさしい対応をしてもらえるなど、自身の目指した医療を実現している状況を語った。

2011年11月12日の新規開業予定者のための講習会で講演する草田英嗣氏(草田眼科医院院長)

開業成功の医師に多く共通する事例

 第2講は、新規開業支援を多数手がけた廣井増生税理士から、これまでの事例をもとにアドバイスを行った。

 自身が手掛けてきた開業支援で成功している医師に共通した点は、地域のことをよく把握している方が多い。地域の年齢層や交通の便、所得層などを適確に把握している。つまり開業目的が地域のニーズに合っているかどうかが重要である。また、開業する年齢としては30〜50歳代と幅広くなっているが、40歳代が一番多いようである。女性医師が開業後、早く安定軌道に乗っている方が多いが、経済的ひっ迫感が少ないようで、そのゆとり感が患者さんに安心感を与えているケースが多いようである。

 開業準備は1年前に始める方が多い。開業に必要な資金は運転資金1000万円を含め4000万〜6000万円は必要。銀行融資を受ける際には、開業動機を明確にすることが重要。あいまいな開業動機では融資を受けられないことがある。テナント開業の場合、家賃は40万〜50万円を目安に考えておいた方がよい。スタッフを採用する際の面接は12人〜13人が限界と考えられる。最初からでき上がったスタッフを採用するより、院長と一緒に働くなかでスタッフ教育することを勧める。若い患者層にアピールするためにはホームページの作成は必須事項。しかし作成費用は10万円程度にしている方が多い。

2011年11月12日に行われた新規開業予定者のための講習会の模様。講習会では、新規開業を実践的にアドバイスした。

新規開業を実践的にアドバイス

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