長野の低医療費、「保健補導員」なども要因/全国健康保険協会
全国健康保険協会は1月30日の運営委員会に、全国的に最も医療費が低いとされている長野県について、各種統計から推定した低医療費の要因を提示した。人口当たりの病床数、平均在院日数、入院・外来の受診率の数値が低いことに加え、在宅での死亡率の高さを指摘した。このほか高齢者の就業率や、健診受診率の高さ、「保健補導員」による保健予防活動・受診勧奨などの積み重ねも低医療費の要因に挙げている。
全国健康保険協会は同日の運営委員会に参考資料として都道府県支部別医療費の状況を提出。それによると、2007年度の1人当たり医療費は全国平均で14万539円となっている。この数値は、社会保険診療報酬支払基金でレセプト集計した旧政管健保の医療費を入院・入院外(調剤を含む)・歯科についてまとめたもので、都道府県別で最も高い北海道では15万8601円、最も低い長野県では12万6240円だった。
このほか、長野県の医療費の状況について参考資料を提出。同県の医療費を全国的にも低くしている要因を各種統計、文献などから推定した。
人口当たりの病床数が少ないことについては、長野県の06年の人口10万人当たり病床数が示された。08年3月の第5次長野県保健医療計画によると、病院では1155.00床、一般診療所では85.1床で、それぞれ全国35位、36位となっている。
平均在院日数は、長野県医療費適正化計画(第1期)によると、06年の全病床の平均在院日数は26.7日で、全国平均の34.7日と比べて8日短く、全国で47位と最も低かった。病床の種類別に見ても、結核病床以外のすべてで全国平均を下回り、特に入院期間が長い傾向にある精神病床や療養病床が全国平均に比べて大幅に短い傾向にあると指摘した。
受診率については第5次長野県保健医療計画の記述を引用し、人口10万人に対する受療率は入院が946、外来は5078で、いずれも全国平均を下回っているとした。
在宅での死亡率の高さについては、07年度版厚生労働白書からの引用で、都道府県別に見ると最高の長野(21.0%) から最低の北海道(9.6%) まで約2.2倍の開きがあるとした。さらに、高齢者の就業率や健診受診率の高さ、「保健補導員」の活発な活動も低医療費の要因として指摘した。(2/2MEDIFAXより)