長期処方で症状悪化事例、厚労省に提起へ/日医調査
日本医師会は12月8日、病院や診療所の医師4000人以上に実施した長期処方の実態調査結果を発表した。慢性疾患患者に対し5週間以上の長期処方が広く行われており、長期処方期間中に患者の症状が悪化した事例があった。
長期処方制限は、2002年度診療報酬改定時の療養担当規則の見直しで、新薬などの一部を除き原則撤廃されている。日医は「今回の調査で長期処方による問題事例があることが分かった」として、医師に適切な処方期間設定を促す一方、厚生労働省に対し、実態調査の実施や中医協などで処方期間の在り方をあらためて検討するよう求めていく方針だ。
調査は、北海道、茨城、群馬、千葉、広島、福岡で各道県医師会の協力を得て実施。有効回答は病院医師2820人、診療所医師1395人の計4215人。
慢性疾患患者に対する「最も多い処方日数」は、52.9%が「5週間以上」と回答。対象疾患・薬剤は、高脂血症(HMG―CoA還元酵素阻害剤)、高血圧症(ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤)、同(アンジオテンシン?受容体拮抗剤)が上位を占めた。
5週間以上の長期処方で遭遇した問題事例としては「患者の容態変化に気付くのが遅れた」18.0%、「患者が服薬を忘れたり中断したため病状が改善しなかった」35.8%、「患者が次回再診予約時に診察に来なかった」54.8%などが挙がった。
個別の意見では、容態悪化や受診抑制、重複投与、処方変更などに関する問題事例が報告されている。うち容態悪化については「高血圧管理中に腎障害を発症」「糖尿病が悪化して入院に至った」などの事例が寄せられた。
調査結果の詳細は、日医総研のホームページで公表する予定。(12/9MEDIFAXより)