重度障害者の入院時ヘルパー緊急派遣/京都市、09年度実施へ検討
重度の障害がある人が入院する際、コミュニケーションの難しさや長時間の見守りなどのケアが必要なことを理由に、病院が家族に24時間の付き添いを求めたり、入院を断ったりするケースが長年、深刻な課題となっている。京都市は2009年度から、ケアに慣れた人をヘルパーとして入院先に緊急派遣する制度の実施を検討している。
市の緊急時のホームヘルパー派遣事業は、在宅の重度障害者が急に入院する場合、支援者ら日ごろから意思疎通に慣れた人をヘルパーとして入院先に派遣する。
障害サービスのヘルパーを派遣するには、医療制度による病院など医療機関の看護との二重給付になってしまうことが壁になってきたが、今回の制度では「コミュニケーション支援」と位置付けることで実現する。京都府内では初の試み。
また、介護する家族が病気になった場合、障害者自立支援法のヘルパー派遣では、申請から認定、派遣時間数の決定までに1カ月近い時間がかかり、空白が生じることから、緊急にヘルパーを派遣する制度も設ける。
京都市障害保健福祉課は「意思表示が難しい障害者の緊急時には、その人のケアに慣れた人の付き添いが必要。看護の肩代わりではない。ヘルパー資格の有無にかかわらず、派遣できるようにしたい」と話している。
大阪市や神戸市は、重度障害者のコミュニケーション支援として、入院時のヘルパー派遣制度を実施している。神戸市の制度では、言語障害などで意思表示が困難な在宅の重度身体障害者が対象で、入院1カ月までで派遣時間は計150時間以内としている。