都道府県の09年度予算、医師確保事業費が2.3倍/手当、奨学金など待遇改善
へき地医療や産科、救急などを中心に深刻化する医師不足に対処するため、都道府県が2009年度の当初予算で、前年度の2.3倍に上る総額219億円の医師確保事業費を盛り込んだことが6月27日、共同通信社のアンケートで分かった。
全体の6割を救急医への手当助成など09年度に大幅に拡充された国の補助事業が占めたが、研修医らへの奨学金制度など都道府県の単独事業も約90億円と前年度より3割以上増えた。ただ待遇改善につながる制度を設けても応募がなく廃止される例もあり、医師確保の決め手が見つからない現状も浮かび上がった。
国の補助事業は129億円で、妊婦の救急搬送拒否問題などを受けて新設された「救急勤務医手当」(32都府県が導入、65億円)、「分娩手当」(34都府県が導入、31億円)の割合が高かった。うち救急で9都県、分娩で14都県が自主財源で手当を上乗せしていた。7府県はこれらの手当について、補正予算での導入を検討中と回答した。
都道府県の単独事業では、一定期間、地元で勤務することを条件にした医学生や研修医への奨学金制度が、福岡以外の全都道府県に拡大。21都道県では、有給で自主的な研修ができる期間を設けるなど好条件で医師を職員として採用し、人材が足りない地域の病院に派遣する「ドクタープール制度」を採用している。
しかし、滋賀県は「応募者がいない」としてドクタープール制度を09年度に廃止。山口県も、同じ理由で、出産、育児などで離職した医師の再就職支援事業を取りやめた。都道府県担当者からは「自治体の努力だけでは限界がある。医師のへき地勤務の義務化など、国による抜本的な改革が必要だ」(新潟県)などとする声が目立った。【共同】(6/30MEDIFAXより)