過去最高の37兆円、前年度比3.9%増/10年度国民医療費  PDF

過去最高の37兆円、前年度比3.9%増/10年度国民医療費

 厚生労働省が9月27日に発表した2010年度「国民医療費の概況」で、国民医療費が過去最高の37兆4202億円となったことが分かった。前年度から1兆4135億円、3.9%の増加となる。厚労省は3.9%増の内訳について、10年度診療報酬改定率0.19%の影響を除き、人口の高齢化が1.6%程度、医療の高度化や疾病構造の変化などその他の要因が2.1%程度とみている。/p>

 人口1人当たりの医療費も過去最高を更新し、前年度比3.5%増の29万2200円だった。国内総生産(GDP)に対する比率も同0.21ポイント増の7.81%、国民所得(NI)に対する比率も0.20ポイント増の10.71%で、いずれも過去最高だった。

 厚労省はこれまで「一般診療医療費」としていた診療種類別区分を、「医科診療医療費」と「療養費等」に分けて算出した。医科診療医療費は27兆2228億円で全体の72.7%を占めた。そのうち、入院医療費が14兆908億円(構成比率37.7%)、入院外医療費が13兆1320億円(同35.1%)だった。薬局調剤医療費は6兆1412億円(同16.4%)、歯科診療医療費は2兆6020億円(同7.0%)、入院時食事・生活医療費は8297億円(同2.2%)、療養費等は5505億円(同1.5%)、訪問看護医療費が740億円(同0.2%)だった。

 診療種類別伸び率を見ると、訪問看護医療費が11.3%と最も大きく増加した。そのほか、病院の入院医療費の6.4%や薬局調剤医療費の5.5%などの伸び率が大きかった。一方、伸び率が小さかったのは一般診療所の入院外医療費の0.7%や病院の入院外医療費の2.5%など。

 厚労省は伸び率の要因について、10年度改定で医科入院がプラス3.03%、医科外来がプラス0.31%となったことが考えられるとしている。訪問看護医療費については、もとの額が小さかったとする一方、事業所数や利用者数が増加していると指摘した。

 医科診療医療費を傷病分類別に見ると、最も多いのは「循環器系の疾患」で5兆6601億円(同20.8%)。以下、「新生物」の3兆4750億円(同12.8%)、「呼吸器系の疾患」の2兆1140億円(同7.8%)と続いた。

 制度区分別に見ると、医療保険等給付分が17兆8950億円(同47.8%)で最も多く、後期高齢者医療給付分が11兆6876億円(同31.2%)、患者等負担分が5兆151億円(同13.4%)、公費負担医療給付分が2兆6353億円(同7.0%)だった。

 年齢階級別で見ると、「65歳以上」が20兆7176億円(同55.4%)となり、全体の半分以上を占めた。(9/28MEDIFAXより)

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