運営主体は「都道府県」が大勢/高齢者医療の改革会議
厚生労働省の高齢者医療制度改革会議(座長=岩村正彦・東京大大学院教授)は2月9日、新たな高齢者医療制度の基本骨格や運営主体について議論した。運営主体については、都道府県が担うべきとの意見が大勢を占めた。
阿部保吉委員(日本高齢・退職者団体連合事務局長)は「市町村で運営主体をやっていけないならば、広域化するしかない。都道府県は(医療保険運営の)経験はないが、まったく知らないわけではない。新制度に移行するまでの間に、市町村との人事交流などを進めれば対応できる」と主張。鎌田實委員(諏訪中央病院名誉院長)も「医療は都道府県単位で努力していく必要がある。都道府県を軸に考えるのが一番いい」と述べた上で「保険料徴収など市町村の協力が必要だ」とした。
新制度の骨格については(1)性と5歳階級ごとの1人当たり医療費の差や所得構成の相違による保険料負担格差の財政調整を段階的に導入。被用者保険と市町村国保を段階的に統合し都道府県単位で統合(池上直己委員・慶応大医学部医療政策・管理学教室教授の案)(2)65歳以上の高齢者を対象とし「別建て」にする。就労高齢者と家族の被用者保険加入継続を検討(対馬忠明委員・健保連専務理事の案)(3)被用者保険の退職者が被用者保険グループが共同運営する「退職者健康保険制度(仮称)」に加入する「突き抜け方式」。市町村国保と高齢者医療は都道府県単位に広域化(小島茂委員・連合総合政策局長の案)(4)市町村国保を都道府県単位に広域化。若人の国保保険料を都道府県単位でできるだけ統一(宮武剛・目白大大学院生涯福祉研究科教授の案)─の4案を基に議論した。今後は費用負担や医療サービスの在り方についても議論する。
また、改革会議の委員を務めていた全国町村会長の山本文男容疑者が贈賄容疑で逮捕されたことについて、会議に出席した長浜博行厚生労働副大臣は新たな委員を全国町村会から出すよう求めていることを明らかにした。(2/10MEDIFAXより)