進む「食」の工業化に警鐘「フード・インク」上映会開く  PDF

進む「食」の工業化に警鐘「フード・インク」上映会開く

 
 協会は、10月4日に環境対策学習会として、「フード・インク」上映会を開催した。参加者は19人。上映後は、山本昭郎環境対策委員の進行で、進む「食」の工業化の恐ろしさやTPPの脅威、安全性よりも利益優先の企業に対して、どう対抗していくべきかなど、参加者と意見交換を行った。以下、参加記を掲載する。
 
「生産者」に思い馳せるきっかけに
渡邉医院 姜 貴順
 
 私は管理栄養士という仕事をしています。多くの方がそうだと思いますが、食事で人の命を守る栄養士でさえ、食材費をいかに抑えるかという課題は常につきまといます。低価格の食品、添加物によって風味や日持ちをよくした食品は、今や私たちの生活に欠かせないものです。
 これまでの私は、食品の栄養素、味、価格、安全性といった消費者の立場ばかりに目がいき、生産者のことを深く考えたことがありませんでした。しかし今回、フード・インクという映画を通して、アメリカの食料流通事情を目の当たりにし、はっとさせられました。小規模の生産者に襲いかかる大企業の圧力、逃げ場のない彼らの苦悩と葛藤、それでも食べ物に対して真面目に向き合おうとする意地とプライド。24時間いつでも食べ物が手に入るこの世の中で、どれだけの人がそのルーツを知り、生産者の思いを受け止めているでしょうか。
 「安全でおいしい食品を作る」という信念を持った生産者を応援しましょう。彼らのおかれた状況は大変厳しいものです。有機栽培や無農薬栽培などによって、丁寧に真面目に作られた食品を購入すること。私たちが購入したその1点1点が、彼らの取り組みを支持する大切な1票になります。そして私たちのその行動は、巡り巡って自分自身の健康を守ることにつながっていきます。
 食料流通の背景を知った今でも、弱い立場につけこみ、大幅にコストカットした低価格食品を利用せずにはいられません。しかし今日からはその食品の向こう側にいる生産者のことを忘れないでおこうと思います。食のあり方について考える、貴重な機会をいただきました。ぜひたくさんの方々にご覧いただきたい映画です。

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