退院直後の訪問看護、要介護者も医療保険可能に/中医協総会
厚生労働省は11月11日の中医協総会に、介護保険優先の要介護者らであっても退院直後であれば訪問看護指示書に基づき医療保険の訪問看護を実施できるよう2012年度診療報酬改定で見直すことを提案した。退院直後は医療ニーズが高い傾向にあることから、必要性が認められる患者に対し一定期間内で実施を認め、在宅移行を支援する考えだ。委員からは、現行の医療保険と介護保険の整理を変更してまで対応する必要があるのか疑問を示す声が上がった一方、現場では需要があると賛成する意見もあった。
現行の訪問看護の仕組みでは、介護保険の被保険者は要介護認定の申請を行った時点で介護保険が医療保険に優先し、退院直後であっても原則、介護保険で訪問看護を実施することになる。ただ、厚労省によると、在宅へ移行する退院直後の2週間程度は医療ニーズが高い場合が多い。入院中に要介護認定の申請を行っても、判定が出るまで平均31.1日かかるとのデータもあるという。
厚労省案を受け、白川修二委員(健保連専務理事)は「介護保険と医療保険の適用の原則を変えるほど重大な問題なのか」と指摘。鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)も、要介護認定の判定が出る前でも、暫定ケアプランを作成してサービス提供できる介護保険制度の仕組みで対応できるのではないかとの考えを示した。
厚労省保険局医療課の鈴木康裕課長は「経常的なニーズについては(要介護認定の判定前でも)前倒しで介護で提供するのが原則。ただし、2週間などに限って非常に高い医療ニーズがある場合、そこだけケアプランを作成して後で作り直して訪問看護を減らすというのはなかなか難しい」と医療保険での対応が必要な場合を指摘。「退院直後は全て医療保険にするということは考えていない」と説明した。西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は「現場としては非常に助かる」と賛成の考えを示した。(11/14MEDIFAXより)