迷走する集団的自衛権と民主主義の危機 柳澤協二氏が近畿反核医師懇談会で講演  PDF

迷走する集団的自衛権と民主主義の危機 柳澤協二氏が近畿反核医師懇談会で講演

 
 元内閣官房副長官補の柳澤協二氏を講師に、「迷走する集団的自衛権と日本の安全保障・民主主義」をテーマに9月28日、講演会を開催した。主催は近畿反核医師懇談会。
 柳澤氏は防衛官僚を経て、小泉・安倍・福田・麻生政権で内閣官房副長官補として、自衛隊のイラク派遣など官邸の安全保障戦略を担当。その立場から安倍政権の安保政策は、“迷走”であり、日本の民主主義の危機であると批判した。
 安倍首相が集団的自衛権行使の正当化を急ぐ理由について、「軍事同盟は“血の同盟”、アメリカが攻撃されているときに血を流さなければ完全なイコールパートナーとは言えない」との主張にあるように、“情念”に由来したものであり、論理的必然性が説明されていないとした。
 歴代政権は憲法の枠内で日米同盟を維持し、歴史問題の争点化を回避するなど理性とバランスを保ってきたのに対し、安倍政権は異なる主張に聞く耳をもたず、与党内ブレーキ不在の危険性を指摘。
 また、安倍首相は「抑止力によって戦争に巻き込まれるおそれはなくなる」と説明するが、抑止力とはいざとなったら戦う意志と能力であり、脅しあいによる軍拡競争を拡大するもので、平和の理論ではないと断じた。抑止一辺倒からルール形成へ動き出している時代の趨勢の中で、日本は、非戦体験や平和国家ブランドを掲げて、争いよりも安定を目指すべきとの考えを述べた。
 今後の展望について、閣議決定から先は思い通りに進まないことを示すためにも、地方選で勝ち続けることで、与党内から退陣論を促す必要がある。何としても暴走を止めたい、と自身の決意をこめて締めくくった。

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