返還額130億4000万円に激増/12年度指導・監査状況
厚生労働省は1月31日、2012年度「保険医療機関等の指導・監査等の実施状況」の概況を公表した。診療報酬の不正請求などで、保険医療機関から返還を求めた額は130億3890万円(前年度比47億4489万円増)と前年度から激増した。保険局医療課医療指導監査室によると、1973年度以降で10番目に大きな額だった。保険医療機関の指定取り消し件数は72件(27件増)、保険医などの登録取り消し人数は42人(8人増)だった。
指導・監査等の実施件数は、個別指導が4302件(347件増)、適時調査が2409件(135件増)、監査が97件(64件減)だった。厚労省医療指導監査室は、個別指導と適時調査が増加した要因について「特定はできないが、東日本大震災の関係で11年度は指導を自粛した面がある。12年度は通常通りの指導や調査をした」ことを挙げた。岩手、宮城、福島の被災3県で11年度と12年度を比べると、個別指導は142件、適時調査は74件増えた。
●療養病棟入院基本料2で19億円返還
主な事例では、保険医療機関の指定取り消しを受けた医療法人豊岡会はまなこ病院(静岡県)は返還金額が約18億9000万円に上った。同病院は、療養病棟入院基本料2の施設基準である看護要員(看護職員と看護補助者)1人当たりの月平均夜勤時間数が72時間以下という要件を満たしていないにもかかわらず、虚偽の届け出をして療養病棟入院基本料2を算定し、診療報酬を不正請求していた。(2/3MEDIFAXより)