返還額は36.6億円、前年度比18.9億円減/08年度指導・監査状況
厚生労働省保険局は12月25日、保険医療機関などに対する指導・監査の2008年度実施状況を発表した。08年度に診療報酬・調剤報酬の返還を求めた額は前年度から18億円9000万円減少し、36億6000万円となった。
医療指導監査室は、08年度の返還額が減少した理由について、前年度に比べ、保険医療機関などの監査件数や指定取り消し件数が減少したためと説明した。特に監査件数については69件で、前年度105件から約3割減となった。08年度は社会保険庁の廃止に伴い、各都道府県の社会保険事務局の業務が厚労省の各地方厚生局に移管したことも影響しているとした。
返還金額の内訳は、指導分が25億2000万円、監査分が11億4000万円だった。例年と比べ、指導分はほぼ変わらないが、監査分は前年度を大きく下回った。監査分は、04年度は約33億7000万円、05年度は約27億9000万円、06年度は約27億6000万円、07年度は約31億9000万円と推移していた。
医科について監査の実施状況を見ると、保険医療機関など36件、保険医など107人。指導の実施状況は、個別指導は保険医療機関など1177件、保険医など1933人、新規指定個別指導は保険医療機関など2135件、保険医など2329人、集団的個別指導は4844件だった。
保険医療機関などの指定取り消しは33件で、前年度から19件減少した。内訳は医科14件、歯科17件、薬局2件となっている。前年度に引き続き、歯科の取り消しが多かった。保険医などの登録取り消しは41人で、前年度から20人の減少。内訳は医科13人、歯科26人、薬局2人だった。
不正内容は、架空請求や付け増し請求、振り替え請求、二重請求がほとんどを占める。正当な理由もなく監査を拒否するなど、悪質なケースも見られた。
取り消しにつながったきっかけは、保険者や医療機関従事者などのほか、医療費通知に基づく被保険者からの通報が22件で全体の3分の2を占めた。22件の通報の内訳は、保険者からが9件、医療機関従事者などからが8件、医療費通知に基づく被保険者からが5件となっている。(12/28MEDIFAXより)