近畿ブロック学習交流会を開催  PDF

近畿ブロック学習交流会を開催

健康被害の現状明らかに 避難者からも支援の訴え

 保団連近畿ブロックは、10月20日に被ばく問題をテーマに、京都で近畿ブロック学習交流会を開催した。参加者は28人。

 第一部は、医療問題研究会の高松勇氏を講師に、「福島甲状腺がん多発を受けて 健康被害の現状を明らかに!100mSv閾値説の撤回を求めて!健康相談会―避難者を支えて!」と題した講演会を行った。

 高松氏は、現在福島での甲状腺がん43例という発見率は、チェルノブイリの一部地域に匹敵すると指摘。相対的に高線量といわれている地域だけでなく、低線量といわれている地域でもがんが多く発見され、従来、「被ばく線量が低く、健康被害はない」と宣伝されてきた地域で相当の被ばくが存在し、今後、健康被害が生じることを示しているとした。

 一方で、「甲状腺がんは最短で4〜5年で増加したというのがチェルノブイリの知見。(事故後1年半から2年の)今の調査では、もともとあったがんを発見している」「人数だけ見ると心配するかもしれない。しかし、20〜30代でいずれ見つかる可能性があった人が、前倒しで見つかった」とスクリーニング効果を強調し、原発事故とは無関係だとする向きもある。しかし、患者年齢が小児と青年で若く、潜在がんの患者好発年齢40歳以上に該当しないこと。11−12年度の福島県民調査では平均腫瘍経は15?で、潜在がんの好発直径5?以下に該当しないことは明らかだと指摘。高松氏は「個人で見た場合、発病する人もしない人もいる。しかし、集団で考えると確実に障害があり、社会として考えれば、大変なこと」とし、個人としては過度に恐れる必要はないが、社会の体制としては被害発生の予防が必要であり、不幸にして甲状腺がんになった人には医療の保障が必要だと締めくくった。

 第二部は、避難団体から「内部被曝からこどもを守る会・関西」代表の中村純氏、「避難者と支援者を結ぶ京都ネットワーク『みんなの手』」代表の西山祐子氏が発言。健康被害への心配に加え、二重生活の負担が重くのしかかり、その負担に耐え切れずに地元へ戻る人や将来の展望が開けず自死を考える人が増えていることなど、避難者の「今」を率直に語った。そのうえで、子ども・被災者支援法が本当の意味で被災者の支援となるよう活動していることや避難者の就労支援、またネットワークづくりの一環としてのカフェの運営を開始したことなどが報告された。

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