転職理由「労働条件悪い」が最多/
厚労省、潜在介護福祉士を調査
福祉・介護分野で働いていない「潜在的有資格者」は介護福祉士の有資格者の約2割を占めることが、厚生労働省がこのほど発表した「介護福祉士等現況把握調査」結果で分かった。他分野で就労している割合は6.0%で、他分野への転職理由は「給与など労働条件が悪い」とした回答が最も多かった。
介護福祉士と社会福祉士、精神保健福祉士の資格を持ちながら福祉・介護分野で働いていない人が多い実態があることから、他分野も含めた就労状況や不就労の理由などを調べた。3資格の登録機関である社会福祉振興・試験センターが2008年7月1日現在で行い、3資格で計18万6379人から有効回答を得た(有効回収率60.4%)。回答者のうち介護福祉士は15万2564人で、80.8%が女性。
調査回答者のうち、福祉・介護分野で働いている人は14万2980人(76.7%)。潜在的有資格者は4万3399人(23.3%) で、他分野での就労者は8.5%だった。介護福祉士の就労状況を見ると、福祉・介護分野が78.7%、他分野が6.0%、非就労が15.3%で、福祉・介護分野での就労割合はほかの2資格より高かった。
他分野で働いている介護福祉士の就労場所を見ると、病院・診療所(25.4%) が最多で、サービス業(15.2%)、教育・学習支援業(6.2%) などが続いた。福祉・介護分野の仕事を辞めた理由は、いずれの資格も「労働条件が悪い」が最多。介護福祉士については「給与などの労働条件が悪い」(32.2%)、「仕事内容がきつい」(24.7%)、「体調を崩した」(20.1%)、「職員間の人間関係がよくない」(19.1%) などが多く、正規職員への登用など、将来の見通しが立たないことや専門性が評価されないといった退職理由も見られた。介護福祉士の有資格者で、将来的に介護分野などへの復職意向を示したのは約5割だった。
現在就労していない有資格者については、3資格ともに「出産・子育てのため非就労」が最多で、福祉・介護分野の仕事を辞めた理由も出産・育児が多数を占めた。介護福祉士の有資格者のうち、64.1%が福祉・介護分野への復職意向を持っていた。
福祉・介護現場の資格手当については、3資格ともに約半数が支給されていなかった。介護福祉士は「手当なし」が42.4%、支給されている人では「5000円以上1万円未満」が最多。資格取得後のメリットについては、3資格ともに「特に変化はない」とする回答が最も多かったが、介護福祉士は「自信を持って業務に取り組めるようになった」(27.7%) などの回答も見られた。また、介護福祉士の60.7%が「資格に見合った給与水準に引き上げるべき」とした。(1/6MEDIFAXより)