赤字の自治体病院が減少/全自病、07年度決算見込み額調査

赤字の自治体病院が減少/全自病、07年度決算見込み額調査

 全国自治体病院協議会が7月16日にまとめた2007年度決算の見込額調査報告書によると、調査の回答を得た491病院のうち赤字病院の割合は70.9%で、前年度に引き続き70%を超えた。ただ、過去最悪だった前年度の74.5%は下回り、病院実数では赤字病院が14病院減少した。特に、病院数が多い中小病院で減少する傾向を示した。

 全自病では、これらの中小病院でも総収益は依然、減少傾向にあると指摘する。黒字への転換は総費用が総収益を上回る減少を示したためと説明し、支出項目では、特に薬品費を含む材料費の減少傾向が大きいとの見方を示した。

薬品費が減少したことについて全自病の石黒久也経営指導部長は、入院・外来とも患者数が減少したことによるとする一方、「それ以上に減っている」との見方も示し、「院外処方や後発医薬品への切り替え」が進んだことによる可能性を示唆した。

 調査は、全自病会員の病院のうち地方公営企業法適用の947病院を対象に実施し、491病院から回答を得た。回答率は51.8%だった。

 回答のあった491病院のうち、06年度に黒字でありながら07年度決算見込み額で赤字に転落するのは30病院で、全体の6.1%。逆に赤字から黒字に改善したのは44病院で、全体の9.0%となり、赤字病院の増加傾向は鈍化した。赤字病院は、実数では14病院減少したものの、全体の70.9%を占めた。初めて70%の大台を超えた前年度の74.5%に次ぎ、07年度はワースト2が見込まれる。また、赤字病院は、一般病院では全体の71.6%、精神病院では56.6%となっている。また、07年度の医業収支比率は89.4%で、前年度の88.8%から改善は見られるものの、ワースト5には入る見通し。

 一般病院について赤字病院の増減を病床規模別に見ると、対前年度比で100床未満が15病院減、100床台が4病院減、200床台が増減なし、300床台が4病院増、400床台が1病院増、500床台が2病院増となり、199床以下の中小病院で減少している。黒字化した中小病院でも総収益は減少し、黒字への転換はそれを上回る総費用の減少があったことによる。例えば100床未満では、対前年度比で総収益は98.7%、総費用は97.7%となっているという。

 また、職員数については、491病院の全職員数が11万7564人で対前年度比で0.5%増加した。職種別では看護師が1.4%増。一方、准看護師は12.1%減。事務職員も1.3%減で、医師も0.8%減少した。

 1日平均入院患者数は198.4人で対前年度比3.4%減。外来患者も507.2人で4.8%減。病床利用率でも07年度は78.0%で06年度の79.9%から減少した。患者数減少について石黒経営指導部長は、「医師数の減少に伴うもの」との見方を示した。(7/17MEDIFAXより)

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