財政審の議論に対する見解発表/保団連  PDF

財政審の議論に対する見解発表/保団連

 保団連は、財政制度等審議会がまとめた建議について「断じて認めることはできない」とする見解を発表した。

 見解では、医師偏在の大元は、政府による長年の医療費抑制政策とその帰結である医師の絶対数の不足にあり、医師の本格的な養成と労働環境の改善に公費を投入することこそ地域医療再生の大道だと述べている。その上で、診療報酬の配分見直しの議論は、収入格差に議論をすり替え、開業医と勤務医の対立を煽るものだとしている。

 中医協の2007年「医療経済実態調査」によると、開業医の収支差額(最頻値)と病院勤務医の年収は同水準であり、保団連「開業医の経営・労働実態調査」によると、労働時間についても、40代から70代までどの年代でも、開業医の週あたりの平均労働時間は50時間を超え、病院勤務医の平均従業時間を上回っている。こうした医療現場の実態を踏まえ、地域医療を支える開業医の役割を診療報酬で正当に評価する必要があると指摘している。

 また、強制的な開業規制や地域別の診療報酬の導入は、地域医療の崩壊を加速させ、地域間の健康・医療格差を助長するものであり、断じて容認できないとしている。

 最後に、医療費総枠拡大をせずに、診療報酬の配分だけの見直しに終始すれば、医師不足にあえぐ病院だけでなく、医療界全体が崩壊の危機に立たされるとして、地域医療再生に逆行する財政審の議論はただちに改めるべきだと結んでいる。

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