財務省に反論「配分見直しだけで財源出ない」/厚労省が見解  PDF

財務省に反論「配分見直しだけで財源出ない」/厚労省が見解

 厚生労働省は11月27日、財務省が11月19日に公表した「平成22年度予算編成上の主な個別論点(医療分野)」(資料28ページ)に対する見解(資料24ページ)を公表した。医療費水準がOECD加盟国の中で低水準にあると指摘した上で、診療報酬の配分の見直しで生み出される財源はわずかにとどまると指摘。「医療再生のためにはもう一段の検討や努力が必要」と主張した。次期診療報酬改定での本体部分の改定率を「プラスマイナス・ゼロ」とし、配分の見直しで対応するよう主張する財務省に事実上、反論した格好だ。

 見解では、日本の総医療費の対GDP費はOECD加盟30カ国中21位と国際的に見て低水準と説明。「医療現場の努力で、効率的かつ質の高い医療を提供してきたが、高齢化の進展による患者増などにより医療現場は疲弊している」とした。また、連立政権の合意書と民主党のマニフェストにも言及し、医療費増額は政権の方針であると強調した。

「診療報酬=医師の報酬」ではない

 さらに「診療報酬は病院や診療所に支払われるもの」とした上で、「診療報酬=医師の報酬ではない」と指摘。診療報酬は多職種が協働してより良い医療サービスを提供するために使われているとした。治療に必要な医薬品、医療機器、病院の建物本体などを整備するために使われているとも説明した。

 配分の見直しについては、前回改定で病院の勤務医対策として診療所の診療報酬の見直しによって400億円の財源を工面したと指摘。医療費総額34兆円という規模を考えると「もう一段の検討や努力が必要」とした。

 見解を公表した意味について、厚労省保険局医療課は「診療報酬について、国民に正しい情報を提供するため」としている。(11/30MEDIFAXより)

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