財務省、「本体マイナス1%」を要求/追加下げ「改定率と別枠」
2012年度の診療報酬改定をめぐる厚生労働省と財務省の政務折衝が12月9日、始まった。財務省の吉田泉政務官によると、厚労省に対して診療報酬本体の1%程度引き下げを要求。財務省が想定している12年度医療費40.7兆円を基に計算すると、薬価の約5000億円(医療費ベース約1.23%)と医療材料の約370億円(約0.09%)の引き下げ分を合わせ、ネットで2.32%程度の引き下げを求めたことになる。厚労省側は具体的な数字は示さず、まずは財務省の提案を持ち帰った格好だ。
両省の政務官が折衝した。財務省は吉田政務官、厚労省は藤田一枝政務官が出席。非公開で10分間程度の短い折衝となった。
折衝後、記者団の取材に応じた吉田政務官は「提言型政策仕分けの結果を踏まえ、厚労省に3つの提言をした」と説明。▽本体マイナス1%程度▽長期収載品の薬価10%程度引き下げ▽市販類似薬であるビタミン剤などの取り扱い─の3点を挙げた。
財務省が本体1%下げの根拠にしたのは、前回改定以降の人事院勧告(マイナス1.7%)と消費者物価指数(マイナス0.5%)による賃金・物価動向だ。診療報酬本体のマイナス1%は「実質、据え置き」(吉田政務官)との解釈をしている。
長期収載品の追加引き下げ10%の提案は、薬価調査で後発品数量シェアが22.8%にとどまったことが背景にある。13年3月の目標は30%だが、吉田政務官は目標期限に達した時点での後発品シェアについて「まだ25%ほどの見込みしかない」と指摘。「差額の5%を先発品を10%下げることでカバーしていただきたい」と語った。
●長期収載品の追加下げで2400億円、改定率0.59%分
財務省によると、10%下げで生まれる財源は約2400億円。しかし、この追加引き下げ分は「薬価改定とは別枠」(新川浩嗣主計官)と説明し、前回改定同様、改定率の計算には含めない方針を示した。12年度の概算要求ベースの医療費は推計40.7兆円で、追加引き下げを改定率に置き換えれば約0.59%になる。仮に本体改定率と長期収載品の追加引き下げが財務省提案通りとなり、追加引き下げ分も改定率の計算に含めた場合、ネット改定率はマイナス2.91%と3%近いマイナスになる。
市販類似薬については、保険から外すことや、自己負担を引き上げることなど「いろいろ方法はあるが、現場に混乱が起きないような格好で検討をお願いした」(吉田政務官)という。
介護報酬は議題にならなかったが、吉田政務官は「おそらく引き続きこちらから何らかの提言をして、折衝に入ることになるだろう」との見通しを示した。(12/12MEDIFAXより)