談話 第47回衆院選結果を受けて
民意と国会の乖離埋める努力を
第47回衆院選は、自民党が改選前の295議席から4議席減らしたものの、公明党と合わせ326議席を獲得、公示前の議席から1議席増やした結果となった。さらに今後4年間、安倍政権が続く可能性が生じたことは国民にも保険医にも大変重い意味を持つ。
民主党から政権を取り返しての2年間、安倍政権は安全保障・エネルギー・社会保障政策などで民意を顧みない姿勢を続けた。今回の選挙も、安倍首相の消費税率10%への増税延期とともに「アベノミクスを問う」との表明による突然の解散で、国民から批判の強い政策には正面からふれずに行われた。民主党をはじめとする野党は受け皿となる構想を示せず、争点のつかみにくい選挙となった。それが戦後最低を更新した52・66%の投票率に現れている。自民党の小選挙区全体での全有権者に対する絶対得票率は約24%。それでも4分の3にあたる222議席を得たのは選挙制度の特性によるところが大きい。
読売新聞の世論調査では、解散直後と選挙直後の内閣支持率は49%と51%とほぼ横ばいであり、また自民党支持率は選挙直後では5%減である。過去3回の衆議院選挙において圧勝した政党の支持率は解散直後と比較して8〜16%上昇してきていた。この結果をみても、本当に民意を代表しているといえるのか、誰もが疑問符をつけたはずである。
選挙結果を受けて安倍首相は、全ての争点がまとめて「信任された」との認識を示した。
しかし、朝日新聞の世論調査によると、自民大勝の理由は「野党に魅力なし」が72%で「安倍首相の政策評価」は11%にすぎず、首相の政策に「不安」52%とある。読売新聞でも自民党支持層に限っても、「ほかの政党よりまし」64%、「安倍首相の期待が高かった」14%、「経済政策が評価された」11%、と同様の評価であり、消極的理由での大勝である。解散の理由である「アベノミクス」に対する世論の見方にも厳しいものがあり、安倍内閣の経済政策そのものも信任されたとは言い難い。民意と国会がねじれ状態になっている。
今後、集団的自衛権の行使を認めた憲法解釈の変更に伴う安全保障法制の整備、その先の改憲、原発の再稼働、そして選挙前に公表を先送りした医療保険制度改革、と重要課題が目白押しだ。さらに社会保障に充てられる予定だった財源の確保も不透明となり、厳しい対応が続くとみられる。しかし、自公はありとあらゆる政策への白紙委任がなされたわけではないことを肝に銘じるべきである。
協会は今総選挙にあたり、?混合診療拡大策の中止?都道府県ごとの医療費総額管理導入の中止?消費税増税中止と医療への「ゼロ税率」適用?TPP交渉からの撤退?脱原発?解釈改憲の撤回と関連法整備を進めないこと―の6点を重点要請項目としてとりまとめ、京都小選挙区の立候補者に送付した。政府に対しても引き続き要求していく所存である。
京都府保険医協会
副理事長 渡邉賢治
2015年1月20日