談話 京都市身体障害者リハビリテーションセンター附属病院廃止にあたって
京都市身体障害者リハビリテーションセンター附属病院(以下市リハセン附属病院)は、私たちの訴えや願いが届かず、3月31日をもって廃止されました。
京都府保険医協会も、京都のリハビリを考える会に参加し、市リハセン附属病院廃止反対運動を展開してきました。
運動の過程で対市要望へ京都市内の8地区医師会からの賛同をいただいたのをはじめ、計30団体・4977筆に及ぶ附属病院廃止撤回要求署名を市当局に提出することができました。ここまでの運動を支援して下さった方々に心より感謝いたします。
市リハセン附属病院は、1969年に当時の京都市社会福祉審議会による「リハビリテーション施設と身体障害者更生相談所の総合体の建設」の答申を受け、1978年に市民・経済界の寄附も受け、全国に先駆けて創設されました。市民一人ひとりの思いや願いが込められた京都市にとって大切な施設でした。それが、市民の誰ひとり望まず廃止されることに対し、残念さとともに怒りを覚えます。しかし、市リハセン附属病院廃止にあたり「現行の入院・外来患者については、行き場がないようなことが起こらないよう責任を持って対応する」ことを市会の付帯決議で確認させたことや、新たなリハセンに診療所機能が残されることは、運動の力によるものと考えています。
この間、京都市は行政区の保健所廃止や京都市休日急病診療所廃止(民間委託)、福祉分野でも公立保育所の民営化等をすすめてきました。このままでは、市リハセン附属病院に止まらず、さらに福祉・医療の切り捨て政策が進められる恐れがあります。
市リハセンは、「京都市地域リハビリテーション推進センター」に名称が変わります。「診療所」が設置されるといってもリハビリテーションを直接提供する機能はなく、他の事業も具体的なビジョンはみえてきません。
附属病院廃止撤回を求める私たちに対し、京都市の主張は、公的病院も民間医療機関と同様に、同じ診療報酬制度の下で医療を行っているのだから、リハビリを公的医療機関で直接提供する役割は終わったというものでした。現在の診療報酬の下で、制度の狭間に落ち込む患者さんがいます。市リハセン附属病院は制度の狭間を埋める機能を持っていました。現行制度の下で民間医療機関が受け止めきれない医療ニーズこそ、公的病院は担うべきではないでしょうか。京都市は、国制度の問題点を分析し、その改善を国に対して求め、できる限り自治体の努力で問題点を取り除く義務があるはずです。
京都市は2016年以降、市リハセンと京都市こころの健康増進センターと京都市児童福祉センターの3施設の「合築」を目指しています。これも、経過をみてきた私たちにとっては、行政リストラに思えてしまいます。
今後も私達は3施設合築問題に関しても注意して、京都市の福祉や医療が間違った方向へ進まぬよう、しっかりと京都市の政策をみて運動を続けていきます。市リハセン附属病院廃止の日を、改めて決意を新たにする日としたいと思います。
2015年4月1日
副理事長 渡邉賢治