読者のひっち俳句
隆英 選
入選
つゆ草やひと節ごとに根を下ろし
素
佳作
空高し鵯のこゑ賑やかに
素
手を打てば龍応へたり堂の秋
絢子
近江路や田の畔なべて彼岸花
絢子
飛行機雲すぢ一刷けの秋の空
善郎
野佛のいませばそこに曼珠沙華
善郎
木犀のおそき今年や香りそめ
青磁
(佳作は順不同、仮名づかい新旧自由)
短 評
素さん、露草の花は瑠璃色でとても美しく、なよなよとよわよわしく女性的な花です。しかし、私は最近こんなしぶとい花はないということを発見しました。私は「露草は露の女神の耳飾」という句まで作り讃美していますが、抜いても抜いても絶えるものではありません。それは「ひと節ごとに根を下ろし」ているからと、今この句で分かりました。よく観察された句です。抜いたつもりでも、節のところで根を下ろしているから花や葉や茎がちぎれるだけなのでしょう。ちょうど稲科のヒメジワ(ヒメシバ)のような草です。
絢子さん、堂は天竜寺でしょうか。原句は「龍の応ふる」でしたが、これでは響き(力)が出てきません。「応へたり」と強く詠嘆すれば、語感とともに響きが出てくるでしょう。
善郎さん、「飛行雲」の句は多くでますが、字余りになっても飛行機雲と正確に言う方が良いとされています。
青磁さん、今年は酷暑の連続でしたから木犀の開花も少し遅れたかもしれませんね。
選者吟
うつくしき手が胸に来て赤い羽根
隆英
<応募要領>◇ハガキに5句以内、未発表のもの。応募作品は返却致しません◇住所、氏名、電話番号明記。ただし作品はペンネームで結構です◇送り先:協会保険医新聞担当◇毎月15日締切。毎月第1週号に発表します◇入選者には記念品贈呈◇作品の発表にあたり選者が添削する場合があります。1月は休載します。
【京都保険医新聞第2663号_2008年11月3日_3面】