読者のひっち俳句/隆英選
入選
川沿ひにどこまでつづく枯木立
素
佳作
果てなしと心に定(き)めて枯野ゆく
善郎
雪交え音なく風の過(よ)ぎる街
善郎
傷痒く癒ゆる兆しや七日粥
青磁
大根焚に和尚を偲ぶ了徳寺
絢子
冬ぬくし木喰さんの微笑仏
絢子
年々に心に響く除夜の鐘
絢子
色ふかく小さく冬薔薇凛として
素
寒の入机の上のボールペン
素
ふりかかる紅葉に染まり磴のぼる
珠子
極月に「無事」の色紙をかかげけり
珠子
(順不同、仮名づかい新旧自由)
短 評
素さん、原句の下五は「冬枯木」でした。「枯木」も冬の季語で上の「冬」と重複するので改作しました。中七の「どこまでつづく」で蕭条とした寂寥感が出ています。
絢子さん、了徳寺の和尚さんが最近亡くなられたということでしょうか。私は数十年前に行ったことがあります。最近千本釈迦堂へ昼頃行ったところ四列で延々何百メートルも並んでいたので諦めて帰りました。了徳寺の俳句を紹介しておきます。
このところ温うおすなと大根焚 角南星燈
大根焚膝で進みて席を得し 同
両句とも庶民的なあたたかさとユーモアのある佳吟です。
珠子さん、平凡なことですがよい言葉と思います。私もある高僧の揮毫の「無事」を、これも名のある陶工の焼いた飾皿を愛蔵しています。
選者吟
初日さす右近の衛府の実たちばな
隆英
◇ハガキに5句以内、未発表のもの。応募作品は返却致しません◇住所、氏名、電話番号明記。ただし作品はペンネームで結構です◇送り先:協会保険医新聞担当◇毎月15日締切。毎月第1週号に発表します◇入選者には記念品贈呈◇作品の発表にあたり選者が添削する場合があります。あらかじめご了承下さい。