読者のひっち俳句/隆英 選
入選
萩の風名水受ける手のくぼに
絢子
佳作
肥後和紙の一筆箋や天高し
絢子
爽やかや書斎の窓をあけはなち
珠子
みえねども何かなつかし虫の声
珠子
朝夕の涼しくなりて太極拳
善郎
老鶯のひと声聞いてバスに乗る
善郎
いざよいの月あふぎつつかえりけり
素
秋あつしならぶ枯鉢眺めをり
素
目覚めれば窓におもはぬ夜半の月
青磁
朝爽やか入選図書券で新書買う
青磁
(順不同、仮名づかい新旧自由)
短 評
絢子さん、以前もありましたが梨木神社でしょうか。同じ朝でも、萩の名所の梨木神社の朝はすがすがしいでしょう。早朝通(とお)ったことがないので分かりませんが、かなりの人が汲(く)みに来られるのではないでしょうか。
善郎さん、山頂かどこか景色のよいところでツアーのバス休憩、いよいよ出発というとき、うららかな老鶯の声がひびいたのでしょう。おもわず次の声を待ちたくなります。バスは老鶯の声を待ったでしょうか。
素さん、「いざよい」は十六日の月、満月のあとの月ですね。以後少しずつ遅れて月はのぼるので、十七日は立っている間にのぼるといい「立待月」、十八日は居間か縁に座っている間にのぼり「居待月」、十九日はますます遅く寝ながら待つことになり「寝待月、臥待(ふしまち)」となってゆき、二十日となると「更待月」です。
選者吟
金閣寺の金色変へぬ松もまた 隆英
<お知らせ> 「文芸欄」(読者のひっち俳句・自由詩コーナー)は、12月掲載をもって終了いたします。最後の応募締切は以下の通りですので、ぜひご応募下さい。
12月俳句(締切11月15日)・12月自由詩(締切11月25日)。