読者のひっち俳句/隆英 選
入選
囃し方落ちんばかりに鉾の上
絢子
佳作
辻回し車輪に水をざぶざぶと
絢子
蝉しぐれ総身に浴び並木道
絢子
卵焼ふわりと皿に朝の蝉
絢子
炎昼や足どり重く若人も
素
さるすべり雨呼ぶ闇にゆられをり
素
閉め忘れの木戸の框で蛻(もぬ)く蝉
素
金魚売りの声の間に間に機の音
善郎
天眼鏡にて全集を梅雨の宿
善郎
停学に耐えし自命の秋となる
青磁
亡父より賞状二枚夢彼岸
青磁
ふるさとの夕べ恋しき栗の花
珠子
網戸より潮風の来る暮しかな
珠子
(順不同、仮名づかい新旧自由)
短 評
絢子さん、入選第一句は祇園祭山鉾の進行の模様。四条河原町、河原町御池のような大きな十字路は、いわゆる「辻回し」という豪快な作業で大きな車輪の方向を転換させられるが、御池から新町へ入る所などは狭いので荒っぽいことはできません。たまたま私の見た年は、人だかりの万人注視の中で鉾が入ったが、大きく揺れて軒にあわやの接触、皆悲鳴とため息をあげました。しかし屈強な男が軒と鉾の間に飛び込んでそれを躱し、拍手喝采を浴びた。彼所は一見の価値があります。
善郎さん、「金魚売」「機の音」、修学院ではとても聞かれぬ情景。
珠子さん、栗の花の匂いは一種特有、それぞれ、人によりいろいろの思い出があるでしょう。
選者吟
晩年といふは余命やかたつむり 隆英
◇ハガキに5句以内、未発表のもの。応募作品は返却致しません◇住所、氏名、電話番号明記。ただし作品はペンネームで結構です◇送り先:協会保険医新聞担当◇毎月15日締切。毎月第1週号に発表します◇入選者には記念品贈呈◇作品の発表にあたり選者が添削する場合があります。あらかじめご了承下さい。