読者のひっち俳句 隆英選
入選
妣の日や共に住み来し家温し
青磁
佳作
散りしきる花に埋まらん無人駅
善郎
サイクリング新緑埋めし道の駅
善郎
みがかれし堂縁落花二、三ぺん
珠子
冷泉家囲みて校舎暮の春
珠子
雨あがりどうだんつつじゆれてをり
素
藤の花人も自然もおだやかに
素
窓全開五月の風を通しけり
絢子
掌に受ける神水浄し杜若
絢子
江戸の蔵いまだ健在鯉のぼり
絢子
(順不同、仮名づかい新旧自由)
短 評
青磁さん、「妣」は亡くなった母のことです。いわゆる「母の日」は母の生死に拘りなく、愛情深い母を敬仰し感謝するために作られた日で、季語ともなっています。従って揚句では亡くなった自分の母のための母の日という感じが強くなってきます。現在も元気な母をお持ちの人にとっては縁のない人となり、厳密には季語とは言えないでしょう。季語でないとすれば、「温し」が春の季語ですから初夏から春の句ということになります。「共に住み来し」と過去になっていますから、作者の年齢から考えてもすでに故人と思われるので、わざわざ「妣」としなくてもよいと思います。
善郎さんのサイクリング、若々しく爽やかな句です。
絢子さん、「窓全開」が句意をよく表現強調しています。
選者吟
白樺の若葉さやぎてあまねき日 隆英
応募要領
◇ハガキに5句以内、未発表のもの。応募作品は返却致しません
◇住所、氏名、電話番号明記。ただし作品はペンネームで結構です
◇送り先:協会保険医新聞担当◇毎月15日締切。毎月第1週号に発表します
◇入選者には記念品贈呈
◇作品の発表にあたり選者が添削する場合があります。あらかじめご了承下さい。