読者のひっち俳句 隆英 選
入選 コンドルやグランドキャニオン大夕焼 佳久朗
佳作 黙しゆく雷光遠き梅雨の街 善郎
ひらひらと椀にひとひら花の茶屋 善郎
灯し合ふ蛍の吐息草の上 絢子
水占のみくじ浮き出る宮清水 絢子
盆の朝西寺町の鐘の声 青磁
黒い太陽横綱二人負けにけり 青磁
小さきばったこぶしの中ではねてをり 素
炎昼やだんご虫らもねむりをり 素
夏の夜や六十周年のジャズの宴 素
エスカルゴ初めて食べしパリーの夜 珠子
実ほどには式部の花の目につかず 珠子
(順不同、仮名づかい新旧自由)
短 評
佳久朗さん、コンドルはアメリカ大陸にのみ棲む猛禽類、グランドキャニオンはいましも夕焼けてゆく中で、悠々と舞っているという景は想像しただけでもすばらしい。作者も唯の夕焼けでは物足りず字余りになっても大夕焼けとしたかったのでしょう。
絢子さん、素戔嗚尊が姫を囲ったという出雲の八重垣神社でも水占をしていました。紙を泉に浮べると恋が成就するかどうか文字が出る。乙女が2、3人それをしていたのを思い出しました。
青磁さん、7月22日の日蝕、私は知らないが横綱が2人負けた。もしこれが晴天の皆既日蝕であったら、まさに黒い太陽、古代人ならずとも恐れ戦く景、「黒い太陽」が良かったです。
素さん、保険医協会創立六十周年祝賀会のジャズ、良かったですね。
選者吟 ヒロシマや黙祷にパン焦がしたる 隆英