読者のひっち俳句
隆英 選
入選
なし
佳作
西陣のはずれの寺や迎鐘
絢子
大文字筆に勢いありにけり
絢子
大阿蘇の噴煙天に秋高し
佳久朗
花のごと島とねりこの実木を飾る
素
赤とんぼい逝きし友はどの山へ
素
秋晴や山城の国一望す
青磁
秋暑し丘に登りて南見る
青磁
(順不同、仮名づかい新旧自由)
短 評
絢子さん、迎鐘といえば東山区の真言宗六波羅密寺のそばの珍皇寺が有名です。お盆に此処の鐘を撞けば亡者をこの世に呼び返せるというので大繁盛、長い行列ができます。俳句では
金輪際わりこむ婆や迎鐘 川端芽舍
が有名です。西陣の方にもこういうお寺があるのでしょうか。次の大文字の句、内容に合った緊張した強い調べがないのが惜しまれます。俳句は短くてものが言えないから、調べ、リズムで作者の心を伝えるのです。
素さん「とねりこ」という木を私は知りません。「島」とあるので、シマトネリコという品種もあるのでしょうか。植物図鑑によると、モクセイ科の落葉小高木で山に自生し、春四弁の淡緑色の細花をつけ、実は翅状になり風で運ばれる。田の畦に一列に植え、竿をかけて稲を干すとも書いてあるので、北近江の方で見かけた景はそれでしょうか。とにかくあまり詠われていない木です。
樹皮は収斂剤、解熱剤。材は家具、スキー、野球のバットなど作るとあるので、相当粘り気のある強い木なのでしょう。
「赤とんぼ」中七が六音なので、強めの助詞「い」を加え七音定型としました。
青磁さん、この丘は船岡山でしょうか。此処で眺めて条坊制を作ったと聞いた気がします。
選者吟
敬老の日の善哉や大納言
隆英
<応募要領>◇ハガキに5句以内、未発表のもの。応募作品は返却致しません◇住所、氏名、電話番号明記。ただし作品はペンネームで結構です◇送り先:協会保険医新聞担当◇毎月15日締切。毎月第1週号に発表します◇入選者には記念品贈呈◇作品の発表にあたり選者が添削する場合があります。あらかじめご了承下さい。
【京都保険医新聞第2659号_2008年10月6日_5面】