読んでみて下さい 「赤紙」ってなに?  PDF

読んでみて下さい 「赤紙」ってなに?

故・中野信夫氏の従軍記が絵本に

 協会の名誉理事長であった故・中野信夫氏の回想として絵本『「赤紙」ってなに?』(ほむぎ出版・300円税込)が2015年1月に出版された。これは、1977年に出版された同氏著書の『靖国街道』の挿絵をもとに絵本として編集されたもの。ご息女の中野圭子氏が編集を担当されている。会員各位に1冊ずつご提供いただいたので、本紙に同封した。中野圭子氏からの以下の寄稿と併せて、ぜひご覧いただきたい。また、より多くの若い世代に戦争の悲惨さを知ってほしいと、昨年『靖国街道』をブックレット『軍医殿!腹をやられました』(かもがわ出版・600円+税)としてリライトもされている。併せてご紹介したい。

子どもたちを戦争に行かせない!!  思い強く

 保険医協会の理事会で、となりに座っておられた新井多聞先生が「中野先生!えらい目が黄色いですな」と下眼瞼を指で押し下げられたという。そして、その席から四条病院(当時の院長が中野進)へ直行。2カ月の安静を命じられました。が、入院は1カ月ともたず自宅療養となりました。
 その療養中に堰を切ったように書き出したのが『靖国街道』(1977年初版)です。元気になったある日、「圭子、これ読んでみんか」と原稿を持ってきました。6時間ほどぶっ通しで読んで、びっくりしました。
 小学生のころにゼスチャーたっぷりで穴を掘って隠れた話などは聞いていましたが、それは映画を観ているようで面白かったし、現地の子どものケガの手当てなどは「眼科やのにすごい!」と誇らしく思っていました。その時はインパールの悲惨な状況など出てきませんでした。『靖国街道』の原稿を読み終えたとき、「子どもたちに戦争をさせてはいけない」と強く思いました。
 昨年はインパール作戦開始70周年。『靖国街道』を読み返し『軍医殿!腹をやられました』にリライトしましたが、「今どきの若者は文字離れが進んでいるから…」と言われ、今回この『「赤紙」ってなに』をつくりました。これは父が絵日記として綴っていたものを下敷きにしています。
 この絵本と同じ内容を語っている映像も最近見つかりました。そこでの父は、淡々と撮影している孫に語りかけています。「百まで生きよう会」の会長を自負していた父は、近くに住む妹の家族に支えられ大往生しました。
 その1年余り前に、保険医協会設立当時から、ずっと二人三脚だった小井実さんから「よそのお年寄りの世話もええけど、オヤジの世話もせんと…」と言われ、私は職を辞し週3日、父のそばで過ごしました。その父との時間は私の宝物となりました。
 ここに父をお支え下さった多くの皆さまに心から感謝申し上げます。
 長い年月、ありがとうございました。
2015年1月
中野圭子

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