認知症対応で「医療・介護連携加算」創設を/全国老施協  PDF

認知症対応で「医療・介護連携加算」創設を/全国老施協

 社会保障審議会・介護給付費分科会委員の村上勝彦・全国老人福祉施設協議会総務・組織委員長は9月5日の同分科会で、認知症に関する「医療・介護連携加算(仮称)」の創設を提案した。

 村上氏は、全国老施協が厚生労働省の老人保健事業推進費等補助金事業で行った「特別養護老人ホームにおける認知症高齢者の原因疾患別アプローチとケアの在り方調査研究」(委員長=池田学・熊本大大学院生命科学研究部脳機能病態学分野〈神経精神科〉教授)の報告書サマリーを提出。「診断や薬剤管理は医療、日常生活は介護だが、相関する相互の情報がやりとりできる必要がある。原因疾患を理解することにより、介護職員の心理的な負担も大きく改善されている」と述べ、認知症に関する医療と介護の継続的なフィードバック体制の構築を「医療・介護連携加算」として評価すべきと訴えた。

 全国老施協が実施した同調査研究事業では、医療と介護の情報を定期的なケアカンファレンスで共有した。認知症専門医が入所前の認知症状の状況や入所の経緯なども踏まえ、CT画像検査による認知症原因疾患の再診断と処方の見直しを行い、介護職員は入所者の震え、精神症状、排尿回数をチェック表を使って24時間記録し、入所者の行動なども記録する。医師は介護スタッフのチェック表や観察記録を参考に薬剤の量や種類、服薬のタイミングなどを変更し、介護は、医療情報の変更点に合わせてケアを調整した。

 報告書では、成果が顕著な抽出8例のうち、5例で入所前の認知症原因疾患の診断名に変更があり、6例で薬剤の変更や減量が行われたことから、認知症の原因疾患などの診断名が介護スタッフに伝わることが重要なのではなく、スタッフが疾患の特徴を十分に理解した上で、個々の事例のケアを科学的に考え、実践していく重要性が明らかになったとまとめている。

 9月5日の分科会では同報告書サマリー内容などについて山田和彦委員(全国老人保健施設協会長)も「これからの方向性などについて簡潔に表している」と同調した。(9/7MEDIFAXより)

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