認知症センター、約4割が依然「空白区」/自治体の財政難で
地域で認知症患者に対する医療提供の中心を担う「認知症疾患医療センター」について、2010年度中に全国で30程度の医療機関がセンターの指定を受ける見通しであることが分かった。ただ、現在指定を受けている70施設と合わせても、厚生労働省が目標に掲げる150施設の3分の2にとどまり、地域にセンターのない「空白区」も全体の約4割に上る。厚労省は「都道府県、政令指定都市に少なくとも1カ所は指定を」と呼び掛けているが、自治体側からは「財政難で指定が進みにくい」との声が上がっている。
同センターは、厚労省が2008年度から整備を始めたもので、認知症の正確な診断と専門医療の提供、かかりつけ医や介護保険サービスとの連携などの機能を持つ。診断に必要な検査機器の整備や人員配置を満たした施設を、都道府県や政令指定都市が指定することとなっている。
地域内に1カ所もセンターがない空白区は現在、47都道府県と19政令指定都市の計66自治体のうち35自治体。10年度中に30程度の医療機関が指定を受けることにより、空白区は26自治体に減る見通しだが、それでも約4割は未指定のままだ。
整備が進まない理由について、未指定自治体の担当者の1人は「自治体の財政難で、医療機関へ補助が出しにくい」と指摘。厚労省は10年度予算で、同センターの運営事業に、前年度の1.8倍に当たる9.3億円を計上しているが、別の自治体の担当者は「国の支援が不十分だ」と話す。(5/28MEDIFAXより)