診療科目ごとの充足度に地域差/近医連が調査
近畿医師会連合の地域医療担当理事連絡協議会はこのほど、1月に実施した「地域医療の現状および医療崩壊に対する調査」の結果をまとめた。京都府医師会が2府4県の郡市区医師会(146医師会)、職域医師会(2医師会)などを対象にアンケート調査したもので、結果を近畿の2次医療圏を俯瞰できるマップで図示するなど、近畿の医療供給状況の現状が一目で分かる報告書も策定した。
アンケートには、136医師会(91.9%)が回答。大阪(81.0%)、京都府(95.8%)以外の4県は全医師会が回答を寄せた。現時点での地域状況の印象を聞いた内容となっているが、診療科目ごとの充足度などに関しては地域差が表面化している。
主な結果を見ると、「急性期医療・一般医療」では、「入院受け入れ状況の5年前との変化」については64.8%が「悪化、やや悪化」と回答したが、地域差も大きく、滋賀の33.3%に対し、兵庫は84.9%に達した。不足している診療分野は、産科・小児科に不足感が強く、認知症拠点や緩和ケア、在宅医療支援なども不足感が高まっている状況が見て取れた。周産期救急を除いて府県間で差が大きく、認知症拠点施設は大都市部で不足感があり、緩和ケアは郡部で不足感が強い。
「慢性期医療」では、療養施設の不足感が大きく、ほぼ全域で「受け入れは悪化している」との認識が示された。ただ、これも地域間差があり、京都は95.7%に対し、奈良は61.6%にとどまった。
「医療崩壊の具体例」については、83医師会が「経験あり」と回答。多くが公立病院など、基幹的役割を果たしている施設の閉院や縮小に伴うものだった。このほど開かれた地域医療担当理事連絡協議会の会合では「比較的、充足度が高い内科でも、公立病院廃止などで一気に瓦解してしまう危険をはらむ。現状はどの診療科も危ういバランスの上に立っている」との意見が示された。
地域医療体制の確保に向けては、81の地域医師会が「具体的な取り組みを行っている」と回答。病診連携協議会の設置、地区医師会員の病院への派遣、輪番制度の維持、救急システムへの積極的参加などが挙げられた。同協議会の会合では、「かなりの医師会が実行しているのに無力感がある」として、国や市民に対して情報発信する必要性を指摘する声もあった。(3/24MEDIFAXより)