診療報酬改定「医療機関全体の底上げを」/保団連  PDF

診療報酬改定「医療機関全体の底上げを」/保団連

 保団連(住江憲勇会長)は11月2日、厚生労働省が2009年6月に実施した医療経済実態調査の集計結果を発表したことを受け、「地域医療を支える医療機関全体の底上げを行うよう強く要求する」との談話を発表した。

 談話では、医療経済実調の有効回答率が4−6割にとどまり、回答数が極端に少ない診療科もあることから、「診療報酬などの基礎資料としては不十分な調査」と指摘。すべての医科診療所と歯科診療所の損益差額、損益率が大幅に低下した点に着目し、「医業経営の窮状が浮き彫りとなった」とした。

 損益差額が減少した要因としては、収益の伸びが抑えられた一方、職員の福利厚生費や建物の賃借料・光熱水費などの「その他の費用」が増加したことを挙げた。医科診療所(個人・入院収益なし)と歯科診療所の損益差額は03年調査から減少傾向にあるとし、「受診抑制の進行とともに、02年の診療報酬改定から4回連続の引き下げで、厚生労働省発表の改定率でもマイナス7.53%(01年度対比)となっていることが大きく影響している」と指摘。「損益差額の減少傾向が続くならば、地域医療を支えている診療所機能が弱体化することが危惧される」との危機感を示した。

 地域医療を支えるために、勤務医の労働環境改善と診療所・病院の役割を診療報酬で正当に評価することが「医療崩壊」の建て直しに必要と提案。診療所から急性期病院へ診療報酬を振り向ける「財政中立」の手法では、根本的な問題は解決しないと指摘し、「次回改定では、地域医療を支える医療機関全体の底上げを行うよう強く要求する」とまとめた。(11/5MEDIFAXより)

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