診療側委員が医療の現状説明/中医協総会  PDF

診療側委員が医療の現状説明/中医協総会

 中医協の診療側委員は7月13日の総会に、日本の医療の現状をまとめた「わが国の医療についての基本資料」を連名で提出し、説明した。各側委員の間で医療を取り巻く現状について共通認識を形成し、建設的な議論に役立てるのが目的。医療費や医療提供体制に関する統計情報のほか、歯科医療や病院薬剤師の現状なども盛り込んだ。

 診療側委員が提出した資料では、日本の1人当たり総医療費はOECD平均を下回る状況にあると指摘。一方で日本の医療は「OECD Health Data2009」に基づく国際評価で1位を獲得するなど、高い評価を受けている。患者負担率が主要先進諸国より高い現状については「個人や家庭の経済的負担が大きくなっている」と説明。税や保険料負担については「低く、引き上げの余地がある」とした。

 診療側の説明を受け白川修二委員(健保連専務理事)は、基本資料には中医協でも議論すべきものと、社会保障審議会などで議論すべきものが混在しているとの見方を示し「中医協マターについては、議題の中で個別に議論を深めていきたい」とした。税や社会保険料などを含む「国民負担率」の在り方については「低負担で高い給付を受けることが一番望ましいが、そんなことはあり得ない。高負担で高福祉というやり方なのか、最終的には日本人がどう考えるかに帰着する」と指摘。「中医協で議論することも必要だろうが、もっと国民的な議論を呼び掛けたい」と述べた。

 これを受け嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)は「中医協で全てのデータを議論するつもりはない。こういう情報も頭に入れて中医協で議論しなければ、国民目線の良い結論は出せないだろうということで出させてもらった」と説明した。

 診療側委員は5月18日の中医協総会に基本資料を提出したが、東日本大震災で医療経済実態調査の実施の是非をめぐる議論が紛糾したため、説明する時間が無くなった。6月22日の総会でも、時間が足りず議論を見送っていた。

 資料は5月18日付で、診療側委員全員と、坂本すが前専門委員(日本看護協会長)、北村善明専門委員(日本放射線技師会理事)の連名。(7/14MEDIFAXより)

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